国会の委員会と本会議とは? 〜国会の仕組み、わかりやすく解説します!〜 | SayGee!![セイジー!] | 政治・選挙の基礎から最新ニュースまで、わかりやすく解説!
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国会の委員会と本会議とは? 〜国会の仕組み、わかりやすく解説します!〜

  • 国会の仕組み
  • 国会の会期中に行われる会議は、「委員会」と「本会議」に分かれます。

    通常国会でも、臨時国会でも、何かを議論する時はまず衆議院・参議院それぞれの「委員会」で話合われ、その後「本会議」での議論に移ります。

     

    委員会と本会議の違い

    「本会議」とは、「議員全員で行う会議」です。衆議院本会議は衆議院議員全員(475人)で、参議院本会議は参議院議員全員(242人)で行います。

    でも、一気に数百人の議員で会議をする、なんて現実的じゃないし、効率もめちゃくちゃ悪いですよね。

    なので、まずは10人から50人で構成される「委員会」にて少人数で話し合った後に、「本会議」で議員全員で採決をとる、というシステムを取っています。

     

    行う場所も、委員会は狭い会議室「委員会室」で行われますが、本会議は広い「本会議場」で行われます。

    本会議場は衆議院と参議院で各1部屋ずつですが、委員会室は、同時に複数の委員会が開催されますのでたくさんあります。

      ↑衆議院の本会議場

       ↑衆議院の委員会室

     

    委員会と本会議の流れ

    例えば、予算を決める流れを見ていきましょう!

    予算はまず、内閣が予算案を決めます。

    その後、

    衆議院の予算委員会

    衆議院の本会議

    参議院の予算委員会

    参議院の本会議

    という流れで、最後の参議院の本会議で可決(出席議員の半数以上が賛成)すれば、晴れてその案は成立、という形になります。

    衆議院と参議院で違う結果がでた場合

    もしも衆議院で可決したのに参議院で否決となった場合は、衆議院の優越により、衆議院の結果(可決)が優先されます。

    衆議院の優越に関しましては、こちらの記事をご参照ください!

    衆議院と参議院での審議の順番

    法案に関しての話し合いは、衆議院から始まる場合も参議院から始まる場合もありますが、予算案に関しては、衆議院の優越により必ず衆議院から審議されます。

     

     

    それでは、委員会と本会議を詳しく見ていきましょう!

    委員会

    委員会は、衆議院と参議院それぞれに設けられ、国会議員は必ずどこかの委員会に所属しなければなりません。

    また、委員会は「常任委員会」と「特別委員会」に分けられます。

     

     

    常任委員会

    常任委員会は「毎回絶対にある委員会」です。予算に関する「予算委員会」や、教育や科学技術に関する「文部科学委員会」などは、いつの時代も必要なので、その様な委員会は、設置と人数が法律や条例で決められています。

    衆議院、参議院ともに各17の常任委員会があります。

    一覧はこちら!どん!

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    この様な委員会が、常任委員会として常設されています。

    衆参ともに、微妙な違いはありますが、ほとんど似たような委員会ですね。

     

    特別委員会

    こちらは、常任委員会とは異なって、「その国会の会期のみに設けられた、特別な委員会」です。「その会期のみ」なので、その会期が終われば消滅します。

    例えば、2016年の秋に行われた「第192回臨時国会」の特別委員会一覧を見てみましょう!

    まずは一覧!どん!

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    以上の項目のように、特別委員会の特徴は、「解決したら、いらなくなる委員会」です。なので、あくまでも臨時的で特別な委員会となっています。

    しかし実際は、北朝鮮の拉致問題や北方領土問題などは、長年日本に問題として存在してきています。

    なので、「北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会」「沖縄及び北方問題に関する特別委員会」は、国会が閉まる度に廃止されますが、次回の国会が始まった時にまた設置される、といったいわば「特別委員会の常設化」のような現象が起きています。

    実際、「北朝鮮」の特別委員会は10年以上、「沖縄と北方」に関しては40年以上も続いています。

     

    委員会の流れと強行採決

    委員会の流れとしては、基本的に以下の流れになります。

    ① 議題(予算案や法案など)に関して、質疑者が質問し、その議題の担当者(総理や大臣や、その法案を作った議員)が答弁する。

    ② 一通り質問が終われば、採決をとる。

    ③ 賛成多数なら可決、反対多数なら否決という形で本会議に送る。

    という3ステップの流れになります。

    しかしこの流れの中の①と②の間で、時々問題が起こります。

     

    それが、「強行採決」です。

    通常、質疑から採決までの流れは、その案に反対する人が「ある程度満足」するまで質疑した後、その委員会の議長が「それでは採決を始めます」と言って採決に移ります。

     

    しかし、反対する側が「絶対に譲れない」場合は、「採決をさせない」という行動を取ります。

    例えば、反対する側が野党(国会の議員の半数以下)の場合、採決をすると100%負けます。数が半数以下では、多数決では100%勝てないですよね。

    なので、「採決をしたら負ける」ので、「採決をさせない」のです。ですので、この場合は与党側は「じゃあもう質問タイムはいいよね?そろそろ採決しよーぜ!」と言っても、野党側は「いやいやいやいや!まだまだ全然議論できてないやん!今採決するとか有り得ないでしょ!もっと議論しよーぜ!」と、議論を引き延ばそうとします。

    ひどい時は、反対派数十人が委員長室の前で立ちふさがるなどをして、委員長の会議室入室を力ずくで妨害します。委員長不在であれば、採決ができないので。

    で、引き伸ばしているうちに、国会の会期は終っちゃえば儲け物です。その案は成立しないので。

     

    しかし、与党側としたら、どれだけ議論を引き延ばされても、無理矢理採決しちゃえばいいのです。

    こんな状況で、「野党側がまだ議論をしたがっているのに、与党側が議論を打ち切って無理矢理採決に持ち込む」ことを、「強行採決」といいます。

    その時は、

    こんな感じになります。なんだか愉快ですね!笑

    この強行採決については、細かな部分まで見れば長くなっちゃうので、詳しくは別記事で解説致します!

     

    本会議

    委員会での採決が終わったのなら、次はいよいよ衆議院、参議院にて各国会議員が全員集まる本会議です!

    数百人が集まっての議論なので、それはもう白熱した議論が・・・・となりそうなところですが、実際は各委員会で細かな部分まで議論され尽くした後に、本会議に送られるので、本会議はほとんど形式的な意味合いしか持ちません。

    ですので、実際は本会議ではほとんど議論されません。

    反対意見のある人がその意見を簡潔に述べたあと、採決して終わりという感じで、スムーズに終わります。

     

    このことから、本会議よりも委員会での議論の方が非常に大きな意味を持つため、委員会中心主義の議会、という言われ方をします。

     

    まとめ

    それでは今回のポイントのまとめ!

    • 国会の会議は、「委員会」で少人数で話し合い、「本会議」で全体の確認をとる。
    • 委員会には衆参それぞれに「常任委員会」と「特別委員会」がある。
    • 委員会での基本の流れは「質疑→採決」だが、場合によっては野党が採決を阻止し、与党が無理矢理採決を進める。このことを強行採決という。
    • 実質的な議論は委員会で行われるため、本会議では形式的な採決のみ行われる。

    といったところですね!

    「委員会」は日本の国会の中心的な働きをしていますので、このことはしっかり覚えておきましょう!

     

    それでは今回はここまで!また別記事でお会いしましょう!チャオ!