日米安保条約のこと 〜なぜ、日本はアメリカに守られているのだろう?わかりやすく解説! | SayGee!![セイジー!] | 政治・選挙の基礎から最新ニュースまで、わかりやすく解説!
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日米安保条約のこと 〜なぜ、日本はアメリカに守られているのだろう?わかりやすく解説!

  • 外交の仕組み
  • 世界では約200の国がありますが、日本が一番仲が良い国といえば、間違い無くアメリカですね。

    日本にとってアメリカは非常に特別な存在です。

    その理由はズバリ「アメリカが日本を守ってくれているから」と言えるでしょう。

     

    では、なぜそもそもアメリカが日本を守っているのでしょうか?

    なぜ、アメリカ軍は日本にいるのでしょうか?

     

    そのあたりを「日米安保条約」にフォーカスを当てて、紐解いていきましょう!

    それでは、レッツビギン!

     

    日本とアメリカの関係

    日本とアメリカの関係は、古くは江戸時代にペリーさんが横須賀に来た頃から、がっつりと始まりました。

    ただ、現代の関係ができたのって、第二次世界大戦以降のことなんですね。

    なので今回は、第二次世界大戦以降で、時系列順に日米関係を見ていきましょう!

     

    終戦から、GDQの統治

    ポツダム宣言(1945年)

    1945年8月に日本はアメリカ・イギリス・中国による「日本はもう戦争に負けたこと認めなさい!」というポツダム宣言を受け入れ、「敗戦」という形で第二次世界大戦が終了しました。

     

    GHQの統治(1945年〜1952年)

    その後、今後の日本のことはマッカーサー率いるGHQに託されました。

    GHQはほとんどアメリカ人によって形成されていましたので、実質的にアメリカが日本を統治することになります。

    ただ、あくまでGHQの統治は「期間限定」でした。日本に平和的で民主的な政府ができたら、GHQは撤退しなければならない、とポツダム宣言にて決められていました。

    極東委員会の存在

    GHQは、米・英・ソ連・中国・オランダ・オーストラリアなど全11カ国からなる「極東員会」という組織の元で結成されました。

    一応、日本の再生は極東委員会が担当し、その下部組織であるGHQが実際に業務を行う形でしたが、実際はGHQがほぼアメリカ人で構成されていたため、アメリカの影響力が他の国より非常に大きかったのです。

     

    日本の主権回復と日米安保の始まり

    サンフランシスコ平和条約(1951年)

    1945年のGHQの統治の翌年の1946年には、「自由・民主主義・非武装」を掲げた日本国憲法が完成し、日本の再生は順調に進みました。

    で、1951年には世界48カ国とサンフランシスコ平和条約を結び、これにより日本の主権は回復し、GHQをはじめ日本に常駐していた外国の軍隊は、撤退することになります。

     

    旧日米安保条約(1951年)

    また、サンフランシスコ条約と同じタイミングで「日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約」も結ばれました。

     

    この条約が、いわゆる「旧日米安保条約」というものです。

    この時の総理は吉田茂さんです。麻生太郎さんのおじいちゃん!

     

    「旧日米安保」と「新日米安保」

    日米安保条約には、1951年に結んだ日米安保条約と、それを更新する形で1960年に結んだ日米安保条約の2種類があります。

    なのでそれを区別するために、1951年の方を「旧日米安保」1960年の方を「新日米安保」と呼びわけます。

    なお、一般的に「日米安保」というと、1960年のものを指す場合が多いです。

     

    旧日米安保の内容

    この内容を簡単にまとめると、

    • 「アメリカが日本に軍隊を常駐させて、日本を他国の攻撃から守る!
    • 「日本で内乱が起こったときも、アメリカ軍が助けてあげる!」
    • アメリカの許可がなければ、その他の国の軍隊は日本に入れません!」
    • また新しいルールができるまで、これは無くならないよ!」
    • 「在日米軍」に関してのルール制定。(日米行政協定)

    という形です。

     

    この様に、サンフランシスコ平和条約で「GHQを含む、外国の軍隊の退去」は決まったものの、旧日米安保で「だけど、アメリカ軍だけは日本に残るよ!」となったのですね!

     

    では、なぜこの「旧日米安保条約」が結ばれたのでしょうか?

    理由を考えてみましょう!

     

    理由1:日本は軍事にお金をかけなくて良い。

    第二次世界大戦で何もかも失った日本は、一刻も早く経済を立て直す必要がありました。

    なので、アメリカに守ってもらうことにより防衛費が浮き、その分を経済に回すことができました。

     

    理由2:アメリカはアジアの軍事拠点を持てる。

    1950年代といえば、世界で「アメリカvsソ連」の冷戦が大きくなってきたところでした。

    加えて1950年に始まった朝鮮戦争でも「ソ連側の北朝鮮vsアメリカ側の韓国」が壮絶バトルを繰り広げていました。

    アジアといえば、アメリカよりソ連の方が近いので、ソ連の方が圧倒的有利です。

    なので、アメリカとしても、ソ連に対抗するためにアジアの軍事拠点が欲しかったのです。

     

    新しい日米安保条約へ

    しかし、1952年の旧日米安保は、お世辞にも「平等な条約」とは言えない内容でした。

    「日本の内戦を、アメリカ軍が助ける」なんて、見方によっちゃ内政干渉(他の国の政治に首をつっこむ)ことだし、

    「他国の軍はアメリカ軍の許可なしに日本に入れない」なんて、「友達の家に遊びに行くのに、違う友達の許可がいる」みたいなもんです。

    しかも、この条約の期限は「新しい条約ができるまで」だったので、改正しない限りは期限なんて無いのです。

     

    そこで、時の総理、岸信介さんは頑張りました。1960年に「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約」、いわゆる「新安保条約」が結ばれます。

     

    新日米安保の内容

    新日米安保の内容は、

    • 日本で、日米どちらかが他国に攻撃された場合は、お互い協力して反撃しようね!
    • 在日米軍については、日米地位協定で詳しく決めよう!
    • この条約は10年間有効で、その後は1年ごとに自動更新ね!ただ、どっちかが更新したくなければ、破棄できるよ!

    というものです。

     

    旧日米安保と新日米安保の比較

    では、旧日米安保と新日米安保を比較してみましょう!

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    こんな感じですね!

    箇条書きでまとめると、

    • 旧日米安保で不平等な内容だった「内乱」や「他国の軍隊」に関しての条項が廃止。
    • 「更新条件」が改正。
    • 「在日米軍」に関してのルール制定。(日米地位協定)
    • 「アメリカが日本を守る」から「日本国内では、お互いが守りあう」に改正。

    という点ですね!

    在日米軍の規定である「日米地位協定」に関しては、こちらの記事で解説しております!

    「お互いが守りあう」とは?

    1960年の新日米安保では「お互いが守りあう」と変更になりましたが、「日本がアメリカ軍を守る」ということは、日本国憲法上使えない「集団的自衛権」にあたるため、日本はアメリカを守れない、と考えられていました。

    しかし、2014年の憲法解釈変更によって、一定条件を満たせば「日本はアメリカ軍を守ることができる」となりました。

     

    また、この新日米安保は日本国内での反対運動も非常に盛んに行われたことでも有名ですね!

     

    日米安保のメリットとデメリット

    では最後に、日米安保のメリットとデメリットをまとめます!

     

    メリット

    メリット1:世界ナンバーワンの軍事力に守られる。

    日米安保のメリットは何と言ってもこれです!

    アメリカの軍事力、ナメちゃいけません。この表を見てください!

    世界軍事費ランキング

    世界の中でも、アメリカだけ軍事にかけるお金がハンパないなんですね!

    こんな国が日本を守ってくれるのです!

     

    日米安保成立後、日本は他国や国際組織からの直接攻撃を受けたことはないので、アメリカ軍に直接守ってもらったことは未だないですが、

    この「日本が直接攻撃を受けたことがない」というのも、「日本に攻撃をしたら、世界ナンバーワンのアメリカに仕返しされる」という脅しが世界中に浸透しているから、とも言えるでしょう!

     

    メリット2:軍事にお金をかけなくても良い!

    アメリカが日本を守ってくれるために、日本は「自国防衛」のためにそんなにお金をかけなくても良いのです。

    その証拠に、「GDPに対しての軍事費の割合」を先ほどの軍事費ランキング上位の国で見てみましょう!

    これを見ることで、「その国が軍事にどれだけ力を入れているか」がわかります。

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    どうでしょうか?

    飛び抜けているサウジアラビアは一旦置いといて、

    その他の先進国は、GDPの大体2%から3%を軍事費に回していますが、日本は最低水準の1.0%です。

    これも「自国でお金をかけなくても、アメリカが守ってくれているから」できることですね!

     

    デメリット

    では、次にデメリットを見ていきましょう!

     

    デメリット1:アメリカの言いなりになってしまう。

    何よりのデメリットはこれですね!

     

    日本は、防衛をアメリカに依存しています。

    なので、アメリカとケンカができないのです。

    この「ケンカ」は、暴力的なケンカはもちろんのこと「口ゲンカ」もできません。

    ということは、アメリカに「反対意見すら言えない」ともいえるのではないでしょうか。

     

    アメリカとケンカして、アメリカが「じゃあもう日本の防衛やーめた!」なんてなると、日本は大大大ピンチですので。

     

    なので、国連やサミットなどの重要な国際会議などで、日本とアメリカで意見が分かれることは、ほとんどありません。

    日本は、アメリカに意見を合わせないといけないのです。

     

    デメリット2:在日米軍の問題

    これも日本では大きな話題になっていますね!

    米軍基地問題や、軍人の素行の問題などです。

    この部分に関しては、こちらの記事で解説していますので、ご参照ください!

     

    などなど、日米安保条約にはメリットもありますが、もちろんデメリットもあります。

    なので、日本でも日米安保「支持派」と「不支持派」による論争が、今でもなお続いております。

    今後の日米関係は、どのようになるのでしょうか?

     

    まとめ

    それでは今回のまとめにいっちゃいましょう!

     

    • 現在の日米関係の始まりは、1951年の「旧日米安保条約」
    • それが更新され、1960年の「新日米安保条約」が今の日米関係の基本軸になった。
    • 日米安保のメリットは、「世界一の軍事力が手に入る」と「お金が節約できる」
    • 日米安保のデメリットは、「アメリカのいいなりになる」と「在日米軍問題」

     

    以上になります!

    それではまた別記事でお会いしましょう!チャオ!