TPPとは? 〜TPPの内容?参加国?メリットとデメリットは?わかりやすく解説!〜
2012年から数年にわたり日本を騒がしているTPP。
2016年には日本は正式にTPPに署名し、秋の国会では賛否両論の中でTPP承認が決定しました。
そこで、今回は今更聞けないこの「TPP」を見ていきましょう!
そもそもTPPって何なのでしょう?
TPPに参加するメリット・デメリットは何なのでしょう?
そのあたりをわかりやすく解説していきます!
それでは、レッツビギン!
TPPはいわゆるEPAと呼ばれる貿易のルールです。
関税やEPAについては、「貿易のこと」の記事で解説しています!ご参照ください!
目次
TPPとは?
TPPの名称
TPPの正式名称は、「Trans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement」と言います。日本語で言うと「環太平洋経済連携協定」です。
なにやら難しそうですね!
簡単に言うと、「太平洋の周りの国で、協力して経済発展していこうぜ協定」です。
TPPの内容
TPPは貿易の基礎となる「関税」以外にも、「投資」「公共事業」「競争政策」「知的財産権」「労働」「環境」「中小企業」など非常に多岐に渡る面でのルールを作っていこうぜ!となっています。
では、何点かポイントをあげて解説をしていきましょう!
関税を無くして、貿易活性化!
これはFTAに当たる部分ですね。関税を無くして貿易を活性化させます。
ただ、TPPは参加国が多く、それぞれの国の「守りたい産業と攻めたい産業」をめぐる交渉が難航しています。
日本は「コメ・麦・牛肉・豚肉・乳製品」を重要5品目(聖域)とし、これらの関税はある程度守られること、という条件のもと、日本は交渉に参加しております。
知的財産権を保護しよう!
著作権などの知的財産権に関するルールは、国によって違います。
例えば、日本では違法となるコピー商品が、コロンビアでは違法にはならないかも知れません。
そうなれば、日本はせっかくコロンビアと条約を締結して、さあたくさん輸出しよう!と思っても、コロンビアではコピー商品が出回り、日本製品が売れなくなっちゃうかもしれません。
なので、著作権などの知的財産権に関するルールは、ある程度揃えよう!というルールがあります。
他国政府を訴えれる!(ISD条項)
これは、他国の市場に進出した企業や投資家が、その国の政府の政策転換によって損害を被ったら、その国を訴えることが出来る!というものです!
例えば、トヨタがコロンビアに車をたくさん売るために、コロンビア工場を作ったとします。
しかし、コロンビア政府が「これからウチの国は、車作りに命をかける!だから、コロンビアのメーカーの車を買うときは、政府が購入金額援助するよ!」とします。
そうすればトヨタはせっかく工場を作ったのに、車は売れなくなっちゃいます。
そのときは、トヨタがコロンビア政府を訴えることが出来るのです!
外国の企業の進出を妨げない!(ラチェット条項)
これは、ISD条項にも共通する部分があります。
国によっては、公共事業など一部の事業を「自国の産業を守るために」外国の会社の参入を禁止している国もあります。
ラチェット条約は、そのよう不平等性をなくすためのルールです。
これに関しては、TPP反対派は「日本の健康保険制度」について、
「アメリカは日本と違って、国民が入らなけらばならない健康保険制度がないから、民間の保険会社が発達している。そんなアメリカの保険会社が『日本は、国が行う健康保険制度があるから、参入できないじゃないか!』と言ったら、今の健康保険制度は崩されるんじゃないか!」
という意見をしばしばあげています。
参加国
TPPに参加していく国は、
こんな感じです!
条約締結までの流れ
基本的に、条約締結の流れは、
- 参加国で交渉
- 参加国代表が署名
- 各国の国会で、その条約への参加を承認
という3ステップになります。
で、TPPは、
- 参加国で交渉(2010〜)
- 参加国代表が署名(2016.02.04)
- 各国の国会で、その条約への参加を承認(2016〜)
という形です。
2016年12月現在としては、「参加を表明する署名は思って、各国の国会の承認を待っている」状態ですね!
では、次にこのTPPのメリットとデメリットを見ていきましょう!
TPPのメリットとデメリット
TPPのメリット
TPPのメリットはなんといっても「景気が良くなる」ことです。
経済産業省が2015年に試算した結果、TPPのおかげで日本のGDPは2.6%(約15兆円)増加するそうです。
では、どのような仕組みで景気が良くなるのでしょうか?見てみましょう!
「景気の仕組み」に関しては、こちらの記事をご参照ください!
貿易輸出の拡大!
TPPのメリットは、なんといっても貿易輸出が増えることです。
貿易輸出が増える、ということは「他国からのお金が入ってくる」ことです。
他国からよりお金が入ってこれば、市場でのお金の流れが活性化し、景気も良くなりみんなハッピー!ってことですね!
消費の活性化!
海外から安い商品が入ってこれば、生活費を抑えることでできます。
そうなれば、今まで買えなっかた商品も買う余裕ができます。
したがって、消費活動が活性化し、景気も良くなる!と言えるでしょう!
日本企業の利益アップ!
貿易に関わる障壁を撤廃することによって、輸出入をたくさんしている企業では、そのコストが下がり、利益がアップします。
その分、社員の給料や投資に回すお金が多くなり、日本経済の底上げにもなる!といった面もメリットでしょう!
TPPのデメリット
では逆に、デメリットも見ていきましょう!
日本の農家が大打撃!
外国産の安い野菜や肉な桜どが入ってくることにより、日本産の野菜が売れなくなり、日本の農業が縮小するのではないか、と言われております。
農水省は、TPPによる日本の農業の損失額を、2013年には約2兆6600億円としてましたが、2015年には1300億円〜2100億円と大幅に下方修正しました。
一気にこんなに数値が変わるなんて、ちょっと信用しづらいですね・・・
食の安全が脅かされる!
日本は、残留農薬や食品添加物、遺伝子組み換えなどの食に関する基準は、世界の中でもトップクラスに高いです。
しかしこれは、食の安全性の基準が高くない国にとっては、輸出の障壁となっちゃいます。なので、TPPでは「他国の安全基準」に日本が歩み寄る必要があるのですね。
したがって、日本も食の安全性を一部下げなくてはならない必要があるのです。
日本の様々な制度が崩壊する!?
TPPをはじめEPA(経済連携協定)は「外国企業の進出の妨げになるルールは、できるだけ撤廃する」という役割を持っています。
そこで一部に問題視されているのが、日本の健康保険制度。
上でも一度お話ししたように、日本の健康保険制度は、民間の保険会社からすると、めちゃくちゃ邪魔な制度です。
なので、民間の保険会社の強いアメリカに、現存の保険制度が壊されるのではないか、という懸念もあります。
ということで、これらのメリット・デメリットをめぐり日本はもちろんのこと、様々な国で論争が起こっているTPP。
そんなTPPにまつわる論点を、もう少し見ていきましょう!
TPPの論点
そもそもアメリカが参加しないと意味がない。
まず、こちらの表もGDPに着目し、見てください。
そう、参加国の経済の規模を見ると、アメリカがずば抜けているのですね。
アメリカだけで、参加国合計GDPの内、約62%を占めています。
しかも、日本はすでにアメリカ・カナダ・ニュージーランド以外の国とはすでに個別のEPAを結んでおります。極端に言えば、上の3カ国以外が入ってようが入ってまいがどっちでも良いのです。
そんな中、アメリカ時期大統領のトランプさんは、TPP参加を撤回しようとしています。z
アメリカ無きTPPは、はっきり言ってほとんど意味をなしません。
聖域は守られているの?
日本のTPPの参加には「聖域(コメ・麦・牛肉豚肉・乳製品・砂糖の重要5品目)に関する国益は守り抜く」という条件がありました。
これはどのようになったのでしょうか?
コメ
日本のコメの関税は、日本では少し特殊です。
日本は現在、コメの関税をキロあたり341円と高関税に設定する代わりに、年間約80万トンのコメは無税で輸入しています(ミニマムアクセス)。
この無税で輸入したコメは、政府が全量買い取り、安値で市場に回らないように管理しています。
で、今回のTPPでは、関税はそのままで、年間約80万トンの無税輸入枠を、約14万トン増加する、となりました。
麦
小麦と大麦も日本は特殊で、政府がマークアップと呼ばれる事実上の関税を輸入価格に上乗せし、国内農家を守っています。
それを徐々に下げていき、TPP運用9年目までに45%削減することに決まりました。
また、アメリカ・オーストラリア・カナダからの大麦と小麦に国別の輸入枠を設け、9年目以降は計31万8000トンを輸入しなければなりません。
牛肉と豚肉
牛肉の関税は現在38.5%ですが、TPP発行時には27.5%に引き下げ、10年で20%、16年目以降は9%に引き下げられます。
ただ、前年より10%以上輸入量が上回れば、その分の関税は38.5%に戻します(セーフガード)。
このセーフガードのパーセンテージも徐々に上げていき、15年目以降は18%になり、更にその後4年間セーフガードの発動がなければ廃止されます。
豚肉は、安い豚肉には現在1キロ482円の関税がありますが、それを125円に引き下げ、5年目には70円、10年目には50円になります。
乳製品
バターや脱脂粉乳は、コメのようにスーパー関税が高いのですが、「13.7万トン」は低関税で輸入しなければならない枠が設けられてます。それに加え、TPPでは6万トン(6年目以降は7万トン)に輸入枠を増加することになります。
チーズは、国内でよく生産されるモッツァレラやかカマンベールは現状維持で、粉チーズやチェダー、ゴーダチーズは16年目に関税撤廃されます。
以上のような結果になります。
この結果を見ると「聖域は守った」とは簡単には言えないのではないでしょうか!
交渉内容がわからない!
TPPと聞くと、この画像を思い出す方も多いのではないでしょうか。
この書類は、野党が政府に「TPPの交渉内容みしてーな!」とお願いしたところ、政府から2016年4月に出てきた書類です。
ほとんど黒塗りで何も内容がわからないですよね!
当時は「自民党は、こんな重大な書類の内容を隠すのか!」と非常に叩かれていました。
でも、政府は「TPPの交渉の結果」はしっかりと包み隠さず公開はしているのですね。
で、この隠された文章は「TPPの交渉の過程」なのです。
自民党(政府)としたら「交渉の過程では、国家機密が入っているから公表できない。でも結果をしっかり公表してるから別に悪くないでしょ?」といった形ですね。
なので、黒塗りの文章はあるので「政府は情報を隠している」ことは間違いないですが、それが「知る必要があるのか」といえば、特に無いような気もしますよね。
と、まあこんなところですね!TPP!
それではまとめます!
まとめ
- TPPは、太平洋の周りの13カ国が参加するEPA。
- ルール内容は「関税撤廃」「投資規制撤廃」「他国を訴えれる」「知的財産権のルール整備」「食の安全基準のルール整備」など。
- TPPに参加すれば、経済の規模は大きくなる(景気は上向く)が、その分農家の人たちにはデメリットも生まれる。
- TPPはアメリカが参加しないと意味がない。
- 「聖域」は守られているとは言い難い。
になります!
それでは今回はここまで!また次回お会いしましょう!
チャオ!