議員立法?閣法?法律はどのように作られる? 〜内閣提出法案とは?法律のこと、わかりやすく解説!〜
日本には約2,000本の法律があり、その法律が私たちの平和な日々を守ってくれています。
この法律は、三権分立の中の一つである「国会」で作られます。
ということで、今回はその「法律の作り方」を解説します!
法律の作り方は、簡単に言うと、
- 案を作る
- その案がいいかどうか国会で話し合う
の2ステップです。国会のオッケーが出たら、晴れてその案は法律として成立、ということですね!
ということで、この2ステップの流れとともに、法律の作り方を見ていきましょう!
それでは、レッツビギン!
目次
1:案を作る
法案の作られ方には2種類あり、「誰が案をつくるのか」によって分けられます。
それが、国会議員が法案をつくる「議員立法案」と、内閣が法案をつくる「内閣提出法案(閣法)」です。
内閣提出法案
この内閣提出法案、内閣が国会に「こんな法律どう?」と提出する法案ではありますが、実際にこの法案をつくるのは、内閣(大臣たち)ではなく、大臣たちの下にいる「エリート官僚たち」です。
官僚とは、国土交通省や経済産業省などの「OO省」で働く公務員のことです。
また、内閣提出法案をつくるきっかけも、大臣たちが「今の日本には、この法律が必要だ!」と思ってつくるのではなく、官僚たちが「この法律が必要だ!」というのを大臣に提案して作られる、といったものが多いのです。
この辺りも「官僚中心の政治」と言われる理由の一つですね!
内閣提出法案は、成立率がスーパー高い
この内閣提出法案の特徴として、「成立率がめちゃくちゃ高い」という点があります。
例えば2015年で見ると、議員立法案の成立率が約17%(12/72)に対し、内閣提出法案はなんと約83%(62/75)です!
すごくないですか?議員立法が17%で、内閣の方が83%ですよ?
この理由がズバリ「与党審査」です。
与党審査とは、官僚が作った法案を、国会に提出する前に、与党内でその法案を審議することです。自民党であれば「政務調査会」で審議します。
で、この与党審査会を通った法案を、閣議で大臣たちが「これが内閣提出法案だ!」として、国会に出します。
その後、国会で審議されるのですが、もう結果はほぼ見えて見てますよね。
だって、国会で過半数を占める与党の国会議員は、与党審査会でその法案をすでに了解しているのです。
ということで、内閣提出法案は「成立率がスーパー高い」のです。
議員立法案
一方の議員立法は、国会議員が法案を作成したものです。
上でもお話ししましたが、議員立法は成約率がめちゃくちゃ低いです。
2015年は、72本のうち12本しか成立してません。
この理由は、もう皆さんもお気づきですよね。
野党の議員が提出した法案は、ほとんど成立しないからです。
野党の議員は、与党の議員と違う考え方を持っています。
なので、野党議員の提出した法案は、ほとんどの場合、過半数を占める与党の議員は賛成しないので、成立しません。
2015年に成立した野党議員による立法案は、ゼロです。
んー!!!野党って、ツラいですね。
2:国会で審議する
さて、案が完成すれば、いよいよ国会での審議が始まります!
国会の審議は、衆議院と参議院で同時にすることはありません。
衆議院に法案を提出したなら、衆議院で先に審議を行って、その後に参議院で審議をします。参議院に法案を提出したなら、その逆です。
国会審議の流れ
国会審議の流れは、4ステップです。
1:衆議院の委員会で話し合い・採決
↓
2:衆議院の本会議で採決
↓
3:参議院の委員会で話し合い・採決
↓
4:参議院の委員会で採決
です。もちろん、その法案が参議院に出されたものであれば、参議院→衆議院の順番になります。
委員会と本会議の関係
委員会は、10人〜50人ほどの少人数で行う会議で、本会議はその院の議員全員(衆:475人、参:242人)で行う会議です。
いきなり全員で会議なんてやってると非常に効率が悪いので、先に少人数制の委員会で話し合いちゃい、採決をとっちゃいます。
↑委員会
↑本会議
その結果を本会議にて全員に報告し、もう一度本会議にて採決を取ります。
ただ実際は、本会議はほとんど形式的な意味しか持っていなく、実質的な機能は委員会で終わります。
委員会と本会議については、こちらの記事にて詳しく説明しております!ご参照ください!
衆議院と参議院で意見が分かれた場合
では、衆議院と参議院で意見が分かれたらどうしましょう。
例えば、「衆議院は可決したが、参議院は否決した場合」です。
この場合は、参議院否決後にもう一度衆議院に送り返され、そこで3分の2以上が賛成をすれば可決になります。3分の2以下であれば否決です。
これが、衆議院の優越のひとつです。
衆議院の優越は、こちらの記事で詳しく解説してます!
また、「参議院で可決したが、衆議院で否決した場合」は、否決になります。
もう一個!「先に審議した方(衆でも参でも)が否決した場合」は、その時点で廃案となり、次の院には送られません。
みなし否決
この言葉も覚えちゃいましょう!みなし否決!
これは、「参議院が、衆議院から受け取った法案を60日以内に結果を出さなければ、否決扱いにする」というものです。
審議中に国会の会期が終わった場合
国会には会期があり、話し合える時間は限られています。
例えば、通常国会であれば大体毎年1月〜6月くらいなのですが、後半から審議を始めた法案であれば、最終結論がその会期中に間に合わないことも多々あります。
基本的に、最終結果が出ないまま会期が終われば、その法案は廃止となりますが、「会期延長」や「継続審議」といった手段が取られることもあります。
会期延長
会期延長は、「あかん!話し合い終わらへんから延長しよう!」となることです。
通常国会は1回、臨時国会と特別国会は2回まで延長できます。
通常国会、臨時国会、特別国会の国会の種類については、こちらの記事をご参照ください!
継続審議
どうしても次の会期に持ち越したい法案の場合は、「継続審議」が可能です。本会議で過半数以上の同意を得れれば、次の会期に持ち越すことが可能です。
ただ、「衆議院で可決後、参議院での審議途中で持ち越し」などの場合、「衆議院で可決した」という事実は持ち越せないので、次回の国会でもう一度衆議院で可決する必要があります。
まとめ
それでは今回のまとめにいきます!
- 法律を作るには、議員が案を出す「議員立法案」と、内閣が作る(ことになっているが実際は官僚が作る)「内閣提出法案」がある。
- 内閣提出法案は成立率が高いが、野党議員が出す議員立法案は、ほぼ成立しない!
- 国会での審議は、委員会→本会議で行われる。
- 衆議院と参議院で意見が割れたなら、「衆議院の優越」!
- 基本的に会期が終われば法案は廃止。でも「継続審議」もできる!
以上の5つのポイントになります!
それでは今回はここまでにします!
また、次回お会いしましょう!チャオ!