資本主義?社会主義?共産主義の違いとは? 〜アメリカは資本主義でソ連は社会主義?政治経済の思想をわかりやすく解説!〜
政治や経済の話題となると、絶対に出てくる言葉が、この「資本主義」「社会主義」「共産主義」などの言葉。
これらの言葉は「政治や経済を考えるで、何を大切にするか」という思想(イデオロギー)を表した言葉です。
でも「資本主義といえばアメリカや日本」や、「社会主義といえば、ソ連や中国」などはやんわりわかっていても、果たしてそれがなんぞや?という部分まで理解することは難しいんですよね・・・
そんな部分を、今回は解説していきます!
それでは、レッツビギン!
目次
資本主義とは?
この資本主義と社会主義、細かなところまで追い求めていくと小難しい話になっちゃうので、ざっくばらんにいきますね!
まずは資本主義の特徴からみていきましょう!
資本主義の概要
資本主義とは「お金(資本)を持っている人が、お金をたくさん稼げれる!」という考え方です。
お金(資本)を持っている人が会社を作り、工場を建て、人を雇うことができます。
言い換えれば、お金がないと何もできないのです。
ということで、「お金(資本)が一番!」で「資本主義」、ということになります。
自由主義経済
自由主義経済とは「国は経済に関してあんまり関与しないから、みんなが好き勝手にビジネスしなよー!」という考えです。
で、ここのポイントはこの「みんなが好き勝手にビジネスをする」という点です。
実は、経済というものは「みんなが好き勝手にビジネスをする」と、結果的に、ある程度いい感じになってみんなハッピー!っとなっちゃうんです。
例えば、「靴を作りたい!」という人がたくさんいて、世の中の靴が溢れて売れ残りまくったとします。
その場合でも、売れ残りの靴は全部売り切れるまで価格が下がり続け、結果的に完売します。
ただ、安く売りすぎて儲からなかった靴職人もいますよね。そのような人は靴作りを諦めます。そうすると結果的に職人の数も「本当に必要な分」まで下がり、需要と供給のバランスが一致しちゃうんです。
この「みんなが好き勝手していたら経済は上手いこといくのさ!」という考えは、1776年にアダム・スミスさんが「神の見えざる手が働く」という名言で「国富論」という本で発表し、それが1900年頃までの約130年間、経済学のスタンダードとして信じられていました。
競争市場
もう一個大切なアイデアとしては「競争市場」という点です。
資本主義社会では、お金さえあれば(法律に反しなければ)誰でもビジネスをスタートできます。ということは、ライバルも多いのです。
会社は、ライバルに負けないために、必死に企業努力をします。
その結果、商品も高品質になってきて、より便利な世の中へと進化していくのですね!
よって、世の中の進歩はこの「競争市場」という考えの元にあるのです!
格差が広がる!
ただこの資本主義、お金持ちには優しいですが、お金のない人には厳しい非常に厳しいシステムです。
競争市場で敗れた企業は倒産しますし、不景気時には末端の従業員から解雇されていきます。
そう、良くも悪くも「弱肉強食の世界」なんですね!
社会主義とは?
では、もう一方の社会主義をみていきましょう!
社会主義の概要
社会主義とは「国が経済を管理することによって、みんな平等にお金を稼げれる!」という考えです。
国が会社を作り、国が工場を建て、国が従業員を雇います。
簡単にいえば「国民全員公務員」みたいな感じですね!
計画経済
資本主義のメインとなるアイデアが「自由主義経済」なのに対して、社会主義では「計画経済」が基盤となります。
計画経済とは「国のスーパーエリートが全ての国の経済をコントロールすること」です。
例えば「今年はA工場で車を5万台つくるから2,000人働かせて、B農場ではジャガイモ10tつくるから200人働かさせて〜」などを、全部国が決めちゃいます。
全部国が決めちゃうことで、商品を作りすぎることもなければ、失業者も出ることもないのです!
まさに夢のようなルールなんですね!
充実した社会保障=平等!
社会主義の考えでは「国が会社を運営する」ので、国が社長、国民が社員のような関係になるのですね。
ということは、いわゆる「社長」のようなお金持ちの国民はいなくなるのです。
その分、国がお金持ちになるのですね。
でも、国がお金を貯めてても仕方がないので、そのお金を「医療や教育の無償化」などで国民に還元してあげます。いわゆる「社会保障」ってやつですね!
この考えのもとでは、突出したお金持ちも出にくくなりますが、逆に貧困で悩む人も少なくなるのです。
まさに、「平等のための政治」と言えるでしょう!
経済が発達しにくい!
ただ、このシステムには決定的な問題点があります。
それが「競争がないので、経済が発達しにくい。」という点です。
各企業は、国のスーパーエリートから指示されたものを作れば良いだけで、「ライバルに勝つ必要」がないのです。
そうなると、言っちゃえば「新商品の開発」なんてしなくてもよくなっちゃいます。
従業員にしても同じです。
「平等」というアイデアが強すぎると「頑張っても頑張らなくても給料は同じ」になっちゃうので、頑張っても無駄です。結果が同じなら、頑張らないですよね。
従業員が頑張らなくては、経済は発展しません。
政府の抑圧が激しくなる!
また、社会主義のアイデアのもとでは、「国民が国の指示通りに動くこと」が必要不可欠になります。
従って、政府の国民に対する監視は大きくなり、それが国民の自由を奪うことにもなります。
共産主義とは?
社会主義と似たような意味で使われる言葉で「共産主義」という考えがあります。
共産主義とは簡単に言えば「完全なる平等を目指す」ことです。
イメージ的には「すべてのお金をみんなで平等に分ければ、みんな平等でみんなハッピー!」という感じですね!
ちなみに、共産主義の理想である「完全なる平等」のもとでは、争いごとも抑圧も起こらないので「政府は必要ない」とされています。
で、多くの場合「社会主義」は「共産主義」にたどり着くまでの通過点だ、とされおり、多くの国で「共産党」がその理想を目指しております。
日本共産党も、最終的にはこの「共産主義」を目指しているそうですが、さすがにこれは今の世の中とかけ離れすぎているということで、とりあえず「資本主義のなかの平等」を目指している政党です。
歴史の中の資本主義と社会主義
それでは、この資本主義と社会主義はどのようにして生まれてきたかを、ざっくりと見てみましょう!
ソ連と社会主義
1900年頃まで、世界の中心は資本主義でした。
しかし、1922年にスターリンのもとでソ連が成立すると、スターリンはソ連の社会主義化を急ピッチで進めました。
で、この時スターリンさんは、社会主義化によって国の経済を仕切っていくことになりますが、農業をバッサリ切り捨て、工業にメーター全振りで力を入れていくことになります。
農業を切り捨てたせいで、国では数百万人規模の餓死者が出ますが、その代わり工業はスーパー発展しました。
欧米での社会民主主義
そんな、1929年には世界大恐慌が起こり、アメリカやイギリスなどのバリバリ資本主義の国の経済は大混乱に陥り、失業者が大量発生し、格差問題が拡大します。
ここで「資本主義って、ちょっとヤバくない?」と世界が気付くのです。
そんな世の中で、ソ連は(農業を切り捨て)工業が爆発的に発展したので、(餓死者数百万人出たけれどそこは目をつむって)「ソ連すげー!社会主義すげー!」と世界が湧きました。
そこで欧米諸国でも、社会主義的要素が大きくなっていくのです。
アメリカは、これまでは「自由主義経済」を掲げ政府はあまり経済に関与していませんでしたが、公共事業をめちゃくちゃする(政府が仕事を発注する)ことにより雇用を拡大し、不景気からの脱出を図ります。(ルーズベルトのニューディール政策)
スウェーデンやノルウェーなどの北欧の国は、アメリカと同じく政府が積極的に市場に介入し、中でも「平等」をテーマに失業者への社会保障を手厚くすることで、恐慌を脱出します。
社会主義と社会民主主義
ここでは「ソ連の社会主義」と「欧米の社会民主主義」を並べて見てみましたが、これらは似て非なるものです。
ともに「政府が市場に積極的に介入する」という点では似ていますが、ソ連の社会主義は「経済のほとんどを国が管理し、それを実行する為に国民の自由を制限する」という特徴があり、欧米の社会民主主義は「基本的には資本主義だが、平等の為に経済の一部を国が管理するだけで、国民の自由は制限しない」という違いがあります。
現在の日本の社民党も、この考えを非常に大切にしている政党です。
第二次世界大戦後の「冷戦」
1945年に第二次世界大戦が終わると、ソ連は周辺国を中心に「社会主義」を広めていきます。
以降、社会主義国は
- 東ドイツ、ハンガリー、ポーランドなどの「東欧」
- 中国、北朝鮮の「東アジア」
- ベトナム、カンボジアなどの「東南アジア」
- イラク、シリアなどの「中東」
- エチオピア、コンゴ共和国などの「アフリカ」
- キューバの「中米」
と、世界中で社会主義国ができるのです。
で、それに危機感を感じたのが、資本主義の象徴であるアメリカ。
この「資本主義アメリカ」vs「社会主義ソ連」の対立が、いわゆる「冷戦」ですね。
世界がアメリカ側(西側)とソ連側(東側)で大きく二分されました。
ソ連の崩壊と=社会主義の崩壊
しかし、上でも書いたように社会主義には「経済が発展しにくい」というデメリットがあり、そのデメリットが大きくあらわになり、ソ連も1991年に崩壊します。
そこからは雪崩式に社会主義国は崩壊していき、2016年現在、社会主義と自称している国は「中国・キューバ・ラオス・ベトナム」の4カ国のみになりました。
この結果からみても、「資本主義は社会主義よりも優れていた」とも言えるでしょう!
現在の社会主義国
でも、ソ連の崩壊によって「社会主義は良くない」と証明されたのにも関わらず、まだ4カ国もいるのはなぜでしょうか?
現在の社会主義国をみてみましょう!
中国
中国は「ソ連に次ぐ社会主義国家」ではありましたが、今では経済は立派な資本主義です。
ただ、事実上の中国共産党の独裁政治で、その理想を国民に押し付けちゃって、国民の自由を奪っていることになっちゃっているので、社会主義国と言えるでしょう!
キューバ
キューバもソ連の崩壊により、国の社会主義体制が維持できなくなり、徐々に資本主義へ以降しています。
2015年には長年対立してきたアメリカと国交回復したこともあり、現体制の崩壊も近いのではないか、と言われています。
ラオス・ベトナム
ラオスとベトナムも中国と同じような感じで、社会主義政党による一党独裁ですが、経済は立派な資本主義経済です。
北朝鮮
北朝鮮は自らが「社会主義だ!」とは言ってはいないですが、今や世界で一番社会主義らしい国と言えるでしょう!
北朝鮮は情報規制が非常に厳しいため、確実なことは言えないですが、今でも農業や工業は基本的に政府が管理しているそうです。
また、政治的な面ではいうまでもないですね。キムさんの理想を押し付ける、独裁政治です。
まとめ
それでは今回のまとめに参りましょう!
- 資本主義は「お金のある人が会社を作り、工場を建て、人を雇う」。
- 資本主義の基軸は「自由主義経済」で「競争市場」。
- 資本主義は経済発展しやすいが、貧富の格差が生まれやすい。
- 社会主義は「国が会社を作り、工場を建て、人を雇う」。
- 社会主義の基軸は「計画経済」で、それを行うために国が国民を「管理」。
- 社会主義は貧富の格差が生まれにくいが、経済発展しにくい。
- 共産主義は、社会主義のゴール。
- ソ連の「社会主義」と欧米の「社会民主主義」は別モノ。
- 今現在「社会主義」と言っている国も、実は「資本主義経済」を導入している。
以上になります!
それでは、今回はここまで!
また別記事でお会いしましょう!チャオ!