内閣って、なに? 〜仕組み・大臣・閣議・内閣改造など、わかりやすく解説!〜
内閣とは、日本の政治の基本となっている三権分立のうちのひとつで、国の行政機関のトップに位置します。
この「内閣」という言葉は、ニュースなどでは当たり前に使われていますが、一般の人からみると、実は結構わかってそうでわかっていない言葉でもあるんです。
ということで、この「内閣」について改めて勉強してみましょう!
レッツ、ビギン!
目次
内閣の組織
では、まずは「内閣の組織」から見ていきましょう!
一般的に「内閣」という言葉は「総理大臣と、十数名の国務大臣」のことを指します。
内閣総理大臣(首相)
ご存知、日本のリーダーである内閣総理大臣。
実際に内閣がつくられる時は、まず国会が総理大臣を任命します。そして、その後に総理大臣が「十数名の大臣」を指名していきます。
ですので、実際の業務上でも、内閣が成り立つ過程を見ても、内閣の中心はあくまでも「総理大臣」です。
国務大臣(閣僚)
「国務大臣」という言葉はあまり聞きなれないかもしれないですが、外務大臣だとか総務大臣などの大臣をひっくるめて、「国務大臣」と言います。
この国務大臣にもいくつか種類があります。
総理の右腕、内閣官房長官(1人)
大臣の中でも、最も総理の身近な存在に当たる人が、この「内閣官房長官」です。
内閣の組織には、総理を補佐する「内閣官房」という組織があり、そのリーダーが官房長官です。
官房長官は、基本的に平日は毎日記者会見をします(定例記者会見)。この記者会見がよくテレビのニュースに流れるので、官房長官は、大臣の中でも非常に私たち国民が目にする機会が多いのです。
2011年の東日本大震災の時も、当時の枝野官房長官が毎日会見をしていましたが、日に日に濃くなる目のクマの枝野さんを心配し、「#枝野寝ろ」というハッシュタグがTwitterで爆発的に広まったのも、皆様の記憶に新しいのではないでしょうか。
各省庁のリーダー、OO大臣(12人)
「大臣」として真っ先に思いつくのが、財務省や外務省のいわゆる「1府12省庁」のリーダーです。
- 総務大臣
- 法務大臣
- 外務大臣
- 財務大臣
- 文部科学大臣
- 厚生労働大臣
- 農林水産大臣
- 経済産業大臣
- 国土交通大臣
- 環境大臣
- 防衛大臣
- 国家公安委員会委員長
以上の12省庁のリーダーが「大臣」となります。
国会公安委員会とは?
国家公安委員会委員長は「大臣」という名前がついていませんが、この人も紛れもない「大臣」です。
国家公安委員会とは、簡単にいうと「警察を管理する」組織です。
期間限定の国務大臣(2人)
これは、期間限定で設けられている部門での大臣です。
2016年10月現在では、
- 復興大臣
- 国務大臣(東京オリンピック・パラリンピック競技大会担当)
以上の2名がいます。
復興大臣は、東日本大震災からの復興に向けて「10年間」の期間限定で設けられた「復興庁」で、そのトップが復興大臣なります。
国務大臣(東京オリンピック・パラリンピック競技大会担当)は、その名の通り2020年の東京オリンピック・パラリンピックまでに設置される役職です。
基本的に大臣は「財務大臣」や「経済産業大臣」など、その人が管理する組織名が大臣の前に付きますが、国務大臣(東京オリンピック・パラリンピック競技大会担当)は、取り仕切る組織が特にないので、ただ単に「オリンピック担当の国務大臣」の様な呼び方をします。
特定の政策の為の、内閣府特命大臣(16部門)
最後の大臣です。
上記以外に、その時の政府が進める政策や、日本が抱える課題解決の為の「特命大臣」というポストが存在します。
2016年10月現在には、下記16部門があります。
- 金融担当
- マイナンバー制度担当
- 原子力損害賠償・廃炉等支援機構担当
- 原子力防災担当
- 消費者及び食品安全担当
- 防災担当
- 沖縄及び北方対策担当
- クールジャパン戦略担当
- 知的財産戦略担当
- 科学技術政策担当
- 宇宙政策担当
- 経済財政政策担当
- 少子化対策担当
- 男女共同参画担当
- 地方創生担当
- 規制改革担当
・・・めっちゃ多いですね。これだけあれば、「何人大臣いるねん!」と、なっちゃいます。
でも、ほとんどの部門が、財務大臣や総務大臣など、いわゆるOO大臣が掛け持ちして行っています。
なので、純粋に以上の特命担当のみしか持っていない、特命担当大臣は4人しかいません。
と、以上のことをまとめると、2016年10月時点では、
- 官房長官:1人
- 各省庁のリーダー、OO大臣:12名
- 期間限定の国務大臣:2人
- 特命担当のみの大臣:4名
の、以上19名+総理大臣の計20名で内閣が形成されています。
内閣の仕事
では、内閣は具体的にはどのような仕事をしているのでしょうか?
何個かピックアップしてみていきましょう!
閣議
まず、政府の決め事は、基本的に閣議(大臣たちが行う会議)によって決められます。
「閣議決定」という言葉がよくニュースなどで使われますが、これは「政府が、大臣たちの話会いによって、それを決めた」という意味になります。
閣議で決めた法案や予算案などを国会に回したり、閣議で決めた政策を各省庁(文部科学省など)に回して政策を実行したりします。
法律の執行、政策の実行
内閣の一番のメインの仕事といえるのがこの部分です。
「国会」が作った法律に基づいて、「内閣」が政策を実行していきます。
流れ的には、まずは内閣を組織する大臣がその下の各省庁に指示をして、その各省庁が実際に法律や政策を行動に移します。
例えば、「高校で使う教科書、全部タダにします!」という法律ができたとすれば、教育を管理する文部科学大臣の元、文部科学省で働く人たちが実際に動いて、その制度を作っていきます。
予算の作成
国がお金をどの様に集め、どの様に使っていくかを最終的に決めるのは国会ですが、その案を立てるのは内閣の仕事です。
流れとしては、予算案作成をする財務省が、他の省庁にどれくらいの予算が必要かを聞き取ります。
その後、各省庁の希望額を、税金等から獲得できる収入を照らし合わせ、予算案を作っていきます。
そして、予算案が完成すれば、それを国会に提出し、国会議員が「その案が適切か」を話し合い、国会が承認すれば晴れて予算が成立!という形ですね。
ただ、そこで「やばい!全然収入が足らない!」となれば、内閣は「消費税増税」などで収入の強化を図ります。
この収入の強化も、内閣だけではできないので、国会に「消費税増やさない?」と問いかけ、国会の承認を得ることができたら、晴れて(?)消費税増税!という流れになります!
その他にも、条約の締結などの外交関連や、政令の制定、天皇が行う国事行為の助言と承認なども、内閣の役割とされています。
内閣改造
内閣総理大臣は、その他大臣を選ぶ権利もあれば、辞めさせる(罷免する)権利も持っています。
その権利を行使して、ガラッと大臣の顔ぶれを一気に変えることがあり、このことを「内閣改造」と言います。
内閣改造のメリット
内閣改造には、いくつかのメリットがあります。そのメリットを見ていきましょう!
社会のマンネリ化の解消
長期間同じ顔ぶれの内閣が続くと、社会がマンネリ化し、国民の政治に関しての興味も下がってしまいます。
国民の政治の興味が下がるということは、国民が政府の思うように動いてくれなくなる、ということにつながります。
そんな時に内閣改造を行い、多くのメディアがこのことを取り上げることで社会にフレッシュな空気を送り込みます。
それにより、国民の政府に対する注目も高くなり、その分政策の効果も上がる、といった形です。
総理のリーダーシップの拡大
各政党には「派閥」が存在し、慣習として大臣は様々な派閥から選ばれています。
そこで、同じ政党内でもライバル的な派閥との関係が悪くなった際は、そのライバル派閥の議員を内閣に向かい入れることで、ライバル勢力を取り込むことができます。
また、何回も国会議員選挙に当選しているベテラン議員は、「そろそろ俺も大臣かなー」と薄々感じてきます。
ベテラン議員は、当選回数と比例してその権力も大きくなっていきます。従って、その様なベテラン議員を無視していると、総理は反感を買っちゃうことになります。
その反感を解消するためにも、定期的に内閣改造を行い、いわば「大臣の順番待ち」をしているベテラン議員を大臣のポストに就かせ、不満分子を解消させていっているのです。
内閣の呼び方
内閣にも呼び方があり、2016年10月時点の内閣は、「第3次安倍第2次改造内閣」といいます。むちゃくちゃややこしですね!
この呼び名ですが、最初の「第3次」は、「安倍さんが3回総理大臣に選ばれた」ことを意味します。
1回目は2006年9月から、2回目は2012年12月から、3回目は2014年12月からです。
更に、次の「第2次改造内閣」は、「安倍さんの3回目に選ばれた内閣で、2回の内閣改造が行われた」ことを意味します。
従って、「第3時安倍第2次改造内閣」といいます。
まとめ
今回はちょっと長くなってしまったので、最後に箇条書きでポイントをおさらいしていきましょう!
- 「内閣」は総理大臣+国務大臣によって成る。
- 「国務大臣」には、「官房長官」、「各省庁のリーダーのOO大臣」、「期間限定の大臣」、「特命大臣」などの種類がある。
- 「内閣」が「閣議」で決めた様々な決め事を、国会に回したり、各省庁で実行に移したりする。
- 総理大臣は大臣を選ぶこともクビにすることもでき、大臣を一気に入れ替えることを「内閣改造」と呼ぶ。
ということになります!
以上のことは、内閣の基本的な部分になるので、バッチリ理解しちゃいましょう!
ということで、今回はここまで!
それではまた別記事でお会いしましょう!チャオ!