参議院選挙の仕組みとは? 〜選挙区?比例代表?非拘束名簿式?ややこしい選挙制度をわかりやすく解説!〜 | SayGee!![セイジー!] | 政治・選挙の基礎から最新ニュースまで、わかりやすく解説!
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参議院選挙の仕組みとは? 〜選挙区?比例代表?非拘束名簿式?ややこしい選挙制度をわかりやすく解説!〜

  • 選挙の仕組み
  • 日本には、国会議員を決める選挙は2種類あります。

    それが、衆議院総選挙(衆院選)と参議院普通選挙(参院選)の2つです。

    これらの選挙が近くなると、街には選挙カーが走り回り、テレビのニュースも選挙一色になります。

    でも、選挙の制度ってちょっと複雑で、分かりにくいんですね。

    ニュースを見ても「選挙区」や「比例代表」などの専門用語が当たり前のように使われていて、理解するのも一苦労です。

     

    ということで、今回はそんなややこしい選挙のひとつ、「参議院普通選挙」を徹底解説します!

    もうひとつの選挙、衆議院総選挙の方はこちらの記事で解説しています!

    それでは早速、レッツビギン!

    「総選挙」と「通常選挙」

    総選挙とは「衆議院の選挙」で、普通選挙とは「参議院の選挙」を指します。

    理由は、衆議院の場合は一回の選挙で全員入れ替わるので「総選挙」といい、参議院の場合は絶対に、3年に1回のスパンでするので通常選挙と言います。

     

    参議院選挙の概要

    衆議院と参議院の違い 比較

    参議院選挙っていつするの?

    参議院議員の任期は6年ですが、選挙は3年に1回必ず行います。

    参議院議員は全員で242人いるので、3年ごとに半数(121人)ごと選挙にて入れ替えていきます。

    図にするとこんな感じですね!

    参議院選挙のタイミング

    ということで、次回の選挙は2019年です!

     

    選挙権と被選挙権

    選挙権は18歳から、被選挙権(立候補できる年齢)は30歳からです。

    衆議院の被選挙権は25歳からなので、参議院の方が「ちょっぴり大人」という特徴があります。

     

    選挙のシステム

    さて、ここからがいよいよ本題!ちょっとややこしいシステムのお話し!

    参議院の選挙のシステムには、「選挙区制」と「比例代表制」があり、1回の選挙で当選する121名のうち、選挙区制で73人、比例代表制で48人選ばれます。

     

    選挙区制

    参議院選挙の選挙区制とは、「全国を45個のエリアに分け、各エリアで立候補した候補者の中から、得票の多い順に1人から6人が当選する」というシステムです。

    投票する側は投票用紙には「候補者の名前」を書きます。

     

    エリア分けと当選人数

    選挙区は基本的に都道府県で分かれており、人口に応じて当選人数が変化します。

    例えば、人口が多い東京は6人当選、中くらいの千葉県は3人、比較的少ない三重県は1人、といった形です。

    また、「鳥取県と島根県」「高知県と徳島県」は人口が少ないため、2県合わせて1人しか選ばれないので、選挙区は全国で45しかありません、

    各都道府県の当選人数は下図をご覧ください!

    参議院選挙の選挙区

     

    野党共闘

    参議院選挙の見所は、なんといっても「1人しか当選しない選挙区」です。「一人区」なんていい方もします。

    なぜ一人区が見所か?答えは単純、「一人区が多いから」です。

     

    で、この一人区ではしばしば「野党共闘」という作戦が採られます。

    一人区は、1位の人しか当選しないので、大きい政党が圧倒的に有利なのですね。

    今でいうと、自民党です。

     

    そこで、「野党で協力して、与党に勝つ!」という野党共闘の出番です。

    例えば、2013年の参院選の長野の結果をみてください。

    2013長野

    長野は、2013年は当選人数が2人でしたが、2016年からは1人に減りました。

    上の図のように2013年は、

    • 1位:自民党
    • 2位:民主党(民進党の前身)

    だったので、この結果から見ると2016年は、自民党の候補者が勝つのが濃厚でした。

     

    ところがどっこい!2016年の結果をみてみましょう!

    2016長野

    2016年と比べて、候補者の数がグンと減りましたよね。

    これ、共産党と社民党が、自分たちの党からは候補者を出さず、その分民進党の応援に回ったからなのです。その結果、民進党は自民党に勝つ事ができました!

    このように、「野党が協力し、与党の当選を阻止する」ことを野党共闘といいます!

     

    ただ、同じ野党でも政党が違えば、目指す政策も違います。なので、野党共闘は簡単にできることではありません。

    しかし、「与党を潰すためなら、なりふり構ってられるかっ!」というときはこの野党共闘を切り札にするときがあります。

     

     

    比例代表制

    選挙区制は結構単純なシステムなのですが、ややこしいのは比例代表制。

    比例代表制は、「政党の大きさに比例して、議席が配分されるシステム」になります。

     

    ということで、早速流れを見ていきましょう!

     

    1:政党ごとの投票数を調べる。

    まずは、政党の得票数を調べます。

    ここが一つ目のポイント、参議院の比例代表制は、政党の名前か、比例代表制で立候補している候補者の名前のどちらでも投票することができます。

    投票用紙には何を記入するの?

    • 衆議院の小選挙区:候補者の名前
    • 参議院の選挙区:候補者の名前
    • 衆議院の比例区:政党の名前
    • 参議院の比例区:政党か候補者の名前

    です!ややこしいので間違わないように!

    ですので、投票用紙には「政党の名前が書かれているもの」と「候補者の名前が書かれているもの」があるので、政党毎に「政党の名前+候補者の名前」の合計数を出します。

     

    2:ブロックごとに、政党に議席を振り分ける

    次に、政党の得票数に応じて、「ドント方式」で議席を振り分けていきます。

    ドント方式とは、「各政党の得票を÷1、÷2、÷3・・としていき、得票数の多い順に議席を配分する」システムです。

    例えばこんな感じ!

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    この「ドント方式」だと、政党の大きさによって獲得議席が満遍なく配分されるので、小選挙区の「大きい政党が圧倒的に有利」という欠点がありません。

     

     

    得票数が多い順に、当選者を発表する

    ドント方式によって議席数を割り出したら、いよいよ当選者の発表です。

    当選者は、各政党の「名前での得票数」の順番で決まっていきます。

    ですので、参議院の比例代表制は「政党の名前」でも「候補者の名前」でも投票できますが、「候補者の名前」で投票したほうがより自分の思いを政治に反映できる、と言えるのではないでしょうか。

     

    以上の流れが、衆議院総選挙の比例代表制の流れです。

    衆議院選挙にも「比例代表制」がありますが、衆議院のほうは「候補者の名前」では投票出来ません。なので、当選者は事前に政党が用意した「名簿順」で決まります。

    このように、衆議院の比例代表制は事前に作った名簿によって縛られるので「拘束名簿式」と呼ばれ、参議院は事前に名簿は作らないので「非拘束名簿式」と呼ばれます。

    衆議院では、小選挙区で落ちた候補者が比例代表制で当選する「復活当選」がありますが、参議院では選挙区と比例代表の両方での立候補はできないため、復活当選はありません。

     

    選挙区制と比例代表制のメリット

    では、なぜ同じ選挙なのにシステムが2つもあるのでしょうか?

    実は、この2つの制度にはお互いににメリットとデメリットが存在し、お互いが一方のデメリットをカバーしているのです。

    メリットとデメリットはこんな感じ!

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    では、一個づつ見ていきましょう!

     

    選挙区制のメリットとデメリット

    メリット

    選挙区制では、投票者が、直接的に候補者に投票するので、より国民の意見が反映しやすいことがメリットです。

    また、大きな政党が強い(勝つべき政党が勝つ)ので、政局が安定しやすい、というメリットがあります。

     

    デメリット

    選挙区制一番のデメリットは、「死票」が多いことです。

    死票とは、当選者以外に入れられた票です。

    例えば、2016年の三重を見てみましょう!

    2016三重

    この選挙区での有効投票の数(全候補者への投票数)は、886,576票です。

    その内、当選者に入れられた票は440,776票なので、全投票の49.7%です。

    言い換えれば、約50.3%の投票者は「芝さん以外」を望んでいるわけで、結果だけをみれば、半数以上の人たちの意見は反映されていないことになります。

    このことから、選挙区はしばしば「死票が多く、実は民意がしっかり反映されていないのではないか」という点でアツい議論が交わされます。

    また、上でもお話ししたように、一人区では1位の人しか当選されないので、中小規模の政党、特に小規模政党には圧倒的に不利です。

     

    比例代表制のメリットとデメリット

    メリット

    比例代表制のメリットは、何と言っても「中小規模の政党も、ある程度議席を確保できる」という点です。

    ドント方式により、政党の大きさ(人気)に比例して議席を確保できるので、小規模政党でも議席を獲得できるチャンスが、選挙区制より圧倒的に高いです。

    事実、小規模政党の議席はほとんど比例区で獲得されています。

     

    また、ドント方式では死票も少なくて済むので、幅広い民意を取り入れている、と言えます。

     

    デメリット

    比例代表制のデメリットは、「タレント候補者の乱立」という点です。

    比例代表制でタレントを候補者にあげると、そのタレントの名前での投票が多くなります。それは、その政党が獲得する議席数の底上げにもなります。

    そうなると、その政党の候補者は「あまり得票できなくても、タレントの得票によって稼いだ議席のお陰で当選する」ということもあり得るのです。

    したがって、多くの政党は参議院選挙の比例区でタレントを候補者に立てます。

     

    というように、「あまり得票できていない候補者」でも比例代表制だと当選できちゃうことになります。これがデメリットです。

     

    まとめ

    ということで、参院選をまとめると

    • 参院選は「3年に1回」行われる。
    • 参院選のシステムは「選挙区制」と「比例代表制」。
    • 選挙区制は、候補者個人に投票するため、民意が反映されやすい。
    • 比例代表制は、政党の人気に比例して議席が配分されるので、小政党でも議席を獲得しやすい。
    • 比例代表制は「候補者の名前」でも「政党名」でも投票できる。
    • 選挙区制と比例代表制は、お互いの欠点をカバーしあっている。

    です!

     

    それでは今回はここまで!また別記事でお会いしましょう!チャオ!