民事事件と刑事事件の違い 〜民事事件?検察?和解の有無?わかりやすく解説!〜
さて、裁判といえば皆様どの様なものをイメージしますか?
多くの人は、「慰謝料の額を決める」や「懲役などの罪の罰を決める」ものをイメージすると思います。
しかしこの「慰謝料を請求する裁判」と「罪の罰を決める裁判」は決定的に異なる裁判です。
この違いがいわゆる「民事事件(民事裁判)」と「刑事事件(刑事裁判)」というものですね!
ということで今回はこの「民事事件」と「刑事事件」の違いや特徴について見ていきましょう!
それでは、レッツビギン!
目次
刑事事件と民事事件の違い
まずは2つの違いを図で見てみましょう!
どん!
こんな感じです!
では、解説に入ります!
刑事事件とは?
概要
刑事事件とは「犯罪を犯したと疑われる人(被疑者・容疑者)に対して、検察が裁判所に「被疑者に罪があるかないか」と「罪の重さ」を問う一連の流れを指します。
「無罪」「有罪」「執行猶予」「懲役」などは、刑事事件に関連する語句ですね!
例
刑事事件の例は、傷害、殺人、レイプ、窃盗、脱税、詐欺など、いわゆる「法を犯した」場合ですね!
検察 vs 被疑者
刑事裁判の場合は、基本的に「検察が被疑者を訴える」という形になります。
訴えることを「起訴」なんていい方もしますね。
被疑者(容疑者)は、検察に訴えられた時点で、被告人(告訴された人)となり、裁判で有罪か無罪か、有罪の場合は罪はどれくらいになるのかを、検察と争います。
推定無罪
刑事事件上での超重要なもの、被告人は実際に有罪判決を受けるまでは、基本的に「無罪」と考えられる、「推定無罪」という考えがあります。
「疑わしきは罰せず」や「疑わしきは被告人の利益に」などとも言われます。
ですので、刑事裁判のスタート時は、「被告人は無実」と考えられています。
そして、裁判の中で検察が「被告人が罪を犯したこと」を証明する証拠を積み上げていくことで、「被告人は有罪だ」ということ裁判官にアピールする、という流れになるのですね。
痴漢被害と「疑わしきは罰する」
近年、「疑わしきは罰せず」ではなく「疑わしきは罰する」ような判決が増えてきています。
その最もたる例は「痴漢の冤罪」です。
痴漢は、被害者の「この人が犯人です!」という証言以外で、証拠を集めるが非常に難しいので、被害者の証言通りに裁かれることが多いのです。
これにより被疑者側は、「自分の潔白を証明しないと、罪になっちゃう」のです。
これって、無罪の状態から、検察側が有罪の証拠を積み上げていく「推定無罪」と真逆になっていますよね。
このようなことから、痴漢冤罪などに関しては「疑わしきは罰するになってるじゃないか!」という議論もアツく交されております。
「逮捕=罪」ではない。
無罪推定の原則からいえば、被疑者が実際に有罪宣告を受けるまでは「無罪」なのです。
なので、警察に逮捕された時はまだ、無罪です。
「被疑者」は警察に逮捕されて、取り調べを受け、その後に検察に送検され、起訴され、裁判で有罪判決を下された瞬間に「罪人」になるのです。
しかし、一般的な国民やマスコミの中では「逮捕=罪」と考える人が多数います。
「逮捕」は、あくまでも「容疑にかけられた」だけなので、罪ではありません!
なので、逮捕されても「前科」はつきません。(「逮捕前歴」はつきます。)
例え現行犯逮捕でも、容疑者は有罪判決を受けるまではあくまでも「無罪」です。
民事事件とは?
概要
民事事件とは、基本的に一般国民や一般企業(いわゆる「私人」)の間での揉め事を解決するための流れを指します。
「損害賠償」「慰謝料」「和解」などは、民事事件に関連する語句ですね!
例
民事事件の例は、離婚や借金返済、会社からの不当なクビ宣告など、いわゆる「誰かと揉めた」場合ですね!
私人 vs 私人
刑事裁判は「検察官 vs 被告人」でしたが、民事裁判の場合は「私人vs 私人」になります。
「私人」は個人の場合もあれば、企業の場合もあります。
で、裁判官がお互いの話を聞き、客観的に事実を判断し、判決を下します。
和解がある
民事裁判の根本的な役割は「揉め事を解決すること」なので、裁判所もできるだけ「話し合い」で解決しようと、「和解」を勧めます。
しかし「まじで和解は無理」となれば裁判するしかありません。ただ、裁判が始まってから和解に変更することも可能です。
何事も、争うよりも話し合いで解説するのが一番ですね。
一方の刑事事件は、加害者と被害者の間で和解が成立したから終わり、なんてことはありません。
例えば、被害者が被害届を取り下げたとしても、被疑者を起訴を取り下げたことにはなりません。
なぜなら、刑事事件ではあくまでも被疑者を起訴するのは、被害者ではなく「検察」だからです。
ただ、一般的には被害者が被害届を取り下げると、検察も不起訴処分(起訴しない)で済ましちゃいます。
しかしそれは「被害者が被害届を取り下げるくらいであれば、有罪の証明も難しいよね」という考えの元に、です。
まとめ
それでは最後に今回のまとめ!
- 裁判には大きく分けて「刑事事件」と「民事事件」の2種類がある。
- 刑事事件は「検察 vs 被疑者」、民事事件は「私人 vs 私人」。
- 刑事事件は「被疑者は有罪か」、民事事件は「どちらが正しいか」が争点。
- 刑事事件は、被疑者が有罪判決を受けるまでは「無罪」。
- 民事事件のみ「和解」がある。
以上になります!
それでは、また別記事でお会いしましょう!チャオ!