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在日米軍と日米地位協定 〜在日米軍はどこに何人いる?日米地位協定とは?わかりやすく解説!〜

  • 外交の仕組み
  • 長年アツい議論が繰り広げられている日本の課題のひとつである「在日米軍問題」

    沖縄の基地問題や、アメリカ軍人の犯罪などのニュースを見たことがない日本人なんてまずいないでしょう。

     

    そんな在日米軍ですが、

    そもそもまずなぜ日本にアメリカ軍がいるのでしょう?

    そして、どこにどれくらいるのでしょうか?

    また、在日米軍関連のニュースでよく出てくる「日米地位協定」とは何なのでしょう?

     

    などなど、在日米軍に関する事柄を紐解いていきましょう!

     

    それでは、レッツビギン!

     

    在日米軍の概要

    なぜアメリカ軍が日本にいるの?

    まずは根本的な部分!なぜアメリカ軍が日本にいるの?という部分から!

    1945年に日本が戦争に負けてから、日本はマッカーサー率いるGHQの支配化に入りました。

    GHQはアメリカ主導の組織だったため、アメリカ軍が多数日本に在中しました。

     

    しかし、その後に新しい日本の政府ができ、7年後の1952年にはサンフランシスコ平和条約にてGHQ含む日本にいた外国軍は、日本を引き上げることとなります。

    しかし、サンフランシスコ平和条約と同時に結んだ「日米安保条約(旧日米安保)」により、アメリカ軍のみ「日本を守る」役割として日本に駐在することが決められました。

    日本は日本国憲法の9条によって軍隊を持つことができなかったので、その代わりにアメリカ軍に守ってもらおう!という感じですね!

    日米安保に関してはこちらの記事で詳しく説明しております!ご参照ください!

     

    何人のアメリカ軍がいるの?

    2016年10月現在、在日アメリカ軍人の数は、約40,000人です。

    その内訳としては、

    • 陸軍:約2,500人
    • 海軍:約11,000人
    • 海兵隊:約14,000人
    • 空軍:約12,000人

    です。

     

    米軍の「陸軍」「海軍」「海兵隊」「陸軍」

    陸軍:陸の上で戦う人

    海軍:海の上で戦う人

    空軍:飛行機に乗って戦う人

    海兵隊:船や飛行機に乗って相手の陣地に上陸し、戦う人

    のような感じです!

     

    この「40,000人」というアメリカ軍人の数ですが、各国のアメリカ軍の数と比較してみると、

    •   ドイツ  :34,000人
    •      韓国    :24,000人
    • イタリア:12,000人

    と、アメリカ以外の世界の国で一番、アメリカ軍兵士の数が多い国が、日本です。

     

     

    アメリカ軍は日本のどこにいるの?

    2016年11月現在、アメリカ軍が常時利用している施設は、北海道・青森県・東京都・千葉県・埼玉県・神奈川県・静岡県・京都府・広島県・山口県・福岡県・佐賀県・長崎県・沖縄県の14都道府県に存在します。

    「米軍基地=沖縄」というイメージも強いですが、実は全国各地に存在しているのですね!

     

    ただ、その中でも比較的規模が大きい基地は、

    • 三沢飛行場(青森県・空軍)
    • 横田飛行場(東京都・空軍)
    • 厚木海軍飛行場(神奈川県・海軍)
    • 横須賀海軍施設(神奈川県・海軍)
    • 岩国飛行場(山口県・海兵隊)
    • 佐世保基地(長崎県・海軍)
    • 嘉手納飛行場(沖縄県・空軍)
    • 普天間飛行場(沖縄県・海兵隊)

    の5つです。

    地図にするとこんな感じですね!

    在日米軍主要施設

     

    沖縄県と米軍基地

    約70%の米軍施設が沖縄に集中

    で、やはり在日米軍基地といえば「沖縄県」ですね。

    沖縄県には在日米軍施設が非常に集中しており、面積で換算するとなんと在日米軍が常時使用している施設の約70%が沖縄にあります。

    これって、めちゃくちゃ特殊なことなんです。

    だって、沖縄県って小さいですよね?

    日本の中で、沖縄県が占める面積は約0.6%しかありません。

    でも、日本にある米軍施設の約70%は沖縄にあるんです。

     

    そして、沖縄県の総面積のうち、約10%は米軍関連施設です。

    地図で見るとこんな感じ!

    見事に米軍基地だらけですね!

    これじゃ、沖縄県の人が「米軍基地を県外に移転して!」というのも無理がないですね!

     

    「米軍施設」の種類

    米軍施設には、主に3種類があります。

    1. 米軍専用施設(普天間・嘉手納など)
    2. 米軍と自衛隊が共同で使用している施設(三沢・横田・厚木・横須賀など)
    3. 米軍が使用することができる施設(その他全国の自衛隊施設)

    そして、一般的に「米軍基地」といえば、1と2を指します。

    3は、日常的に米軍が使用しているわけではないので、一般的に「米軍基地」とはいいません。

    なので、「日本の米軍基地の70%が沖縄に」といえば、「1と2の70%」になります。

    ちなみに1の「米軍専用施設」だけでみると、沖縄には全国の約20%の米軍施設があることになります。

    それでも「20%」という数字は沖縄の小ささからするとまだまだ大きい数字ですが。

     

    なぜ沖縄に米軍基地が多いのか?

    沖縄に米軍基地が多い理由は2つあります。

     

    太平洋戦争で、アメリカ軍に占領されたから。

    太平洋戦争(第二次世界対戦)で沖縄は、アメリカ軍の上陸を許し、そのまま占領されました。

    その際にアメリカが沖縄に軍事拠点を築き、それがそのままアメリカ軍基地となりました。

     

    沖縄は、アジアに近いから。

    そもそも日米安保を結び、日本にアメリカ軍を駐在させたアメリカの意図として「冷戦で対立するソ連に対抗するため」という点があります。

    1950年代当時、ソ連は中国や朝鮮半島の覇権を巡り、アジアに侵入してきておりました。それに対抗するために、中国や朝鮮半島に地理的に近い沖縄に、基地を配備しました。

     

    現代でも、アメリカとあまり仲が良くない中国やロシアを牽制するためにも、沖縄の基地は欠かせないものなのです。

     

     

    日米地位協定

    また、在日米軍を知る上では欠かせないもののひとつに「日米地位協定」というルールがあります。

     

    日米地位協定とは?

    日米地位協定とは、1960年の「新日米安保条約」を結んだ際に同じく結ばれた、「在日米軍についての決まり」を記した条約です。

    この条約の内容としては、「第一次裁判権」「身柄引き渡し」「原状回復義務」の3点がよくニュースの出てくるので押さえておきましょう!

     

    第一次裁判権

    第一次裁判権とは「米軍兵士が罪を犯したときに、優先的に裁判で裁ける権利」です。

     

    基本的には日本で起こった事件は、日本が第一次裁判権を持っていますが、兵士が勤務中に起こした罪に関しては、アメリカが第一次裁判権を持ちます。

    例えば、アメリカ軍兵士が訓練中に暴走して、日本人を無差別に殺したとしても、日本は裁判にかけることが出来ないのです。

     

    また、「いつが勤務中か」を決めるのはアメリカ側のため、例え何時であろうとアメリカ側が「勤務中だ!」といえば、日本は裁判にかけることはできません。(ちょと極端な言い方ですが)

     

    身柄確保ができない

    上で話したように、兵士が起こした罪が「勤務時間外」であれば、日本の警察が兵士を逮捕、取り調べをし、その後に検察が起訴、そして裁判の判決を仰ぐ、という「犯罪者を取り締まる普通の流れ」ができますが、この中でも1点特別なことがあります。

    それが「検察が起訴するまでは、アメリカ側にいる容疑者に日本は手を出せない」という点です。

    これって、結構厳しい内容なんです。

    その理由が、こちらをご覧ください!

    刑事事件の流れ

    普通、刑事事件は「警察が逮捕してから検察が起訴する間」に、容疑者に事情聴取をし、犯行の証拠を固めていきます。

    でも、容疑者が米軍関係の人で、その身柄がアメリカ側にあった場合(具体的には、アメリカ軍基地にいたり、勤務中であったり、アメリカ側が拘束していたりする時)は、日本の警察・検察は、事情聴取もできないのです。

    事情聴取ができなければ、犯罪を立件できる可能性も下がります。

    これが、この「身柄引き渡し」のルールの特徴ですね。

     

    そして、1995年の沖縄で12歳の小学生の女の子がアメリカ兵3人に強姦された事件では、この「身柄拘束ができない」ことが大問題になりました。

    それに当たって、アメリカと日本で話し合いをし「重大な事件の場合は、起訴前でも身柄引き渡しができるようにしよう」という新たなルールも設けられました。

     

    原状回復義務が無い

    現在アメリカ軍が提供している土地は「日本がアメリカ軍に貸している」という解釈がなされています。

    で、その土地を日本に返す時ですが、「アメリカは原状回復しなくて良いし、補償の為のお金を払わなくて良い」ということに日米地位協定には記されています。

     

    これ、昔の日本には、日本側にメリットがありました。

    なぜなら、昔の日本は「お金がなかったから」です。

    アメリカ軍が基地を改装して、そのまま返してくれたら日本はラッキーでした。

     

    しかし、経済が発達し、アメリカ軍が来てから時間が経った今は、日本にはデメリットが多いです。

    アメリカ軍が長年使用してきた施設は、時間とともに古くなってきているし、アメリカ軍が使用する武器やらなんやらで土壌汚染が問題になっているからです。

     

    仮に、アメリカ軍基地の中で放射能漏れがあり、そこの土地に人が住めなくなったとしても、日米地位協定上では、米軍は一切日本に補償しなくても良いのです。

     

    派遣国が有利なのは当たり前

    このように、日米地位協定は、アメリカに非常に有利な条約なので、単純に比べるかなり不公平な条約にはなっています。

    しかし、これは「他国に在住する軍人」としては世界的に当たり前に認められていることなんです。

    「あなたの国の為に働くので、特別な権利も頂戴ね」という感じですね。

     

    その証拠に、世界の中でも比較的日本と立場が似ている「アメリカとドイツ」「アメリカと韓国」などの地位協定を見ても、多少の差はあれども、上記のような表記は見られます。

    また、日本がPKOで外国に部隊を派遣するときも、国連と受け入れ国で地位協定を結んでいます。

    なので、日本の自衛隊員が派遣先の南スーダンで、南スーダンの法律でいきなり裁かれることはまずあり得ません。

    ですので、一概に「押しつけられた不平等条約だ」とは言えません。

     

    以上が、在日米軍の概要になります。

    それでは最後にまとめにいきましょう!

     

    まとめ

    • 在日米軍は「日米安保条約」で決められた「米軍による、日本の防衛」の為にいる。
    • 在日米軍は約4万人。これは、他国で駐在するアメリカ軍の数としては世界一。
    • 日本の米軍基地の約74%は沖縄に集中している。
    • 米軍関連の細かな決まりを決めたルールが「日米地位協定」。
    • 日米地位協定の特徴は「第一次裁判権」「身柄確保」「現状回復義務」。
    • 日米地位協定は不平等だが、世界の他の例をみても一概に不平等とは言えない。

     

    以上になります!

    それではまた別記事でお会いしましょう!チャオ!