共謀罪ってなんだ? 〜今国会の目玉法案!共謀罪とは?なにが問題なの?わかりやすく解説!
2017年の通常国会も1月からスタートしました。
国会といえば、法律を作る場所です。
ここ数年でも、特定秘密保護法案や安保法関連、TPPなどで揉めに揉めていた国会ですが、今回も「共謀罪」の是非を巡っての与野党をめぐるアツい闘いが早くもはじめっております!
ということで、今回はこの「共謀罪」に関して解説致します!
それでは早速、レッツビギン!
目次
共謀罪って、どんな法律?
共謀罪の概要
内容は?
共謀罪は、簡単にいうと「悪いことを実際に行なわくても、実行の準備をした段階で罪になっちゃう」というものです!
具体的には、
- テロ組織などの犯罪組織によるもの。
- 計画が現実的かつ具体的。
- 計画だけじゃなく、準備もしている。
という3点が揃った場合、たとえその計画を実行してなくても処罰できる!という感じですね!
なのでこの共謀罪の適用範囲としては、
「ヤクザの組員が、敵対する人をボッコボコにする計画と準備」は犯罪となりますが、
「普通の会社の社員たちが、上司をボッコボコにする計画と準備」は犯罪となりません。
「ヤクザ」は犯罪組織と認識されますが、「普通の会社」は犯罪組織ではないですからね!
名称は?
メディアでは通称「共謀罪」として取り上げられますが、法案提出側(今回は内閣が提出予定)の名称では「テロ等準備罪」という名称が使われています!
なんのために?
法案提出側(今回は内閣)の立場からすると、この法律は「東京オリンピックに向けて、テロを防ぐために必要だ!」という主張が、この法案の提出理由になっています。
もう少しだけ深く探ってみると、この背景には2000年に採択された「国際的な犯罪組織をなくそうぜ!」という国連の条約があります。
この国連の条約では、ざっくり言うと「国際犯罪をなくすために、各国はそれを事前に取り締まることのできる法律を作ってくださいね」という了解があるので、それにともなって、日本でも共謀罪を作ろうぜー!といった流れになっています。
問題点と理解のポイント
ではこの共謀罪、何が問題で揉めているのでしょうか?
ポイントを数個上げていきます!
問題1:これまで3回も廃案になってるのに、まだこだわるの?
実はこの共謀罪、2003年の小泉総理の時代から今まで過去3回、自民党内閣提出法案として国会で話し合われましたが、3回全て「廃案」となっています。
なので反対派としては「3回も廃案になったということは、国民が望んでいないということじゃないか。なのになんでゴリ押ししてんの?」という意見があります。
で、その反論としては「いやいや今は世界でテロとか活発になってるやん?オリンピックも控えてるしね。テロをなくそう!という世界共通の認識上、この法律は今必要なんです。」といった形ですね!
問題2:日本の刑法の概念が覆される?
共謀罪は「実際に計画を実行しなくても、その準備段階で罪になる」法律です。
実はこの「準備段階で罪になる」法律って、今の日本でもあるんです。
例えば、殺人や身代金目的の誘拐の準備、他人の財産や命を狙って武器を集めたり、人が集まったりすることは法律で禁じられています。
これらを総称して「予備罪」と言ったりします。
でも、この「実際に行動する前に、犯罪になっちゃう」という予備罪は、日本の法律上超スーパーレアケースなんです。
なぜか?
それは日本国憲法で「基本的人権の尊重」を掲げているからです。
簡単に言っちゃえば「みんなの人権を守るために、基本的に『犯罪をした』という確固たる証拠がないと、犯罪にはなりません!」というアイデアです!
「疑わしきは罰せず」なんていい方もしますよね!
なので、基本的に日本の法律は「実際に犯罪を行った」という証拠がなければ、基本的に罪はなりません。
ただ、殺人や誘拐、人の命や財産を奪うことはスーパー悪質なので、それらは特別に「予備罪」として罪にしちゃおう!という感じですね!
で、この予備罪って、今の法律じゃ、
- 殺人
- 身代金目的の誘拐
- 人の命や財産を奪う行動
- 放火
- 内乱
- 外国に対しての戦争
- 通貨偽装
などの、凶悪とみなされたごく一部の犯罪のみを対象としています。
で、自民党案の共謀罪では、その対象を「懲役4年以上の刑」をしているため、その数およそ600件以上に及んじゃってるのです!(2006年の自民党内閣提出法案)
なので、反対派としては「予備罪はあくまで例外的な考えなのに、対象が600件以上にもなったらもはや例外じゃないじゃないか!」と反対しているのです!
賛成派の反論としては「そもそも対象がテロ組織などの犯罪集団に対してにしか適応しない法律なんで、別に対象項目が多くても少なくても、犯罪を起こそうとしていない一般人には全く関係ない法律だから、別によくない?」という感じですね!
問題3:基本的人権が侵害される!
問題2の述べたように、共謀罪は「犯罪を行ったという行動」を罰するのではなく「犯罪を行おうとする思想」を罰する法律です。
なので「それって『自由な思想』や『自由な表現』を認めている日本国憲法に反しているよね?」という反対意見もあったりします。
これに対しての賛成派の反論は、「日本国憲法の基本的人権は『他人に迷惑をかけない限り』尊重されるべきやけど、今回の共謀罪の対象となる『テロ組織などの犯罪集団』なんか他人に迷惑かけまくってるから、別にいいんじゃない?」という感じですね!
問題4:てか国連はそもそもここまで求めていない!
上でもお話ししたように、この共謀罪のこの背景には2000年に採択された「国際的な犯罪組織をなくそうぜ!」という国連の条約があります。
この条約には「国際的な犯罪組織をなくすために、各国はそれらを事前に取り締まるための法律を作ってくださいね」という了解があるため、それに準じて政府は共謀罪を作ろうとしている、といった感じですね!
でもこの国連の条約には「別に各国の基本的な理念を曲げてまで、法律を作る必要はないよー!」とも言っているのですね!
なので反対派は「基本的人権を守る、という日本の基本的な理念を貫き通すため、今回の共謀罪は認めないないぜー!」と反対しているのです!
対しての賛成派の反論は、上記の問題2、3と同じように「対象が犯罪集団なので、一般人の基本的人権を侵害するわけではない」という意見に加え、「今現在の限られた予備罪では、国連の条約の要件を満たしてないので、世界平和の為にはやっぱり必要でしょう!」という感じで共謀罪を推しています。
問題5:テロ組織「など」の犯罪組織ってどうゆうこと?
これは文字通り、「など」とは具体的に何を指すのか?という部分ですね!
国会での代表的水掛け論のひとつである「定義を曖昧にして、政府の都合のいいように運営したいだけじゃないか」論争が、もれなく今回も起こっています。
この部分はまだ政府としても具体的な回答は避けているようで「一般人が対象に含まれないようにする」というお茶を濁した対応で終わっている感じですね!
各政党の反応
それでは最後に、各政党の2017年1月26日現在の姿勢を見ていきましょう!
賛成!:自民党、日本のこころ
法案を提出する政権を担う自民党はもちろん、日本のこころを大切にする等も、共謀罪には賛成です。
近年増えるテロ組織の活動から日本を守るためには必要だ、という考えですね!
やや賛成:公明党、日本維新の会
保守寄りの公明党、日本維新の会は「条件ありで賛成」といった態度です。
公明党は「対象は国際テロ活動に限る」、維新の会は「対象範囲を広げすぎない」といった条件ですね!
なんとも・・:民進党、自由党
民進党、自由党の両党は「国民の自由を奪い、政府が監視を強める」点には反対していますが、現時点で明確に「賛成・反対」の意見は出てなさそうな感じです。
反対!:社民党、共産党
社民党、共産党は安定の「全力反対!」です。
「国民の自由を奪いとる!」や「テロ対策だからって、やっていいことと悪いことがある」などが反対の意見ですね!
まとめ
この「共謀罪」に関しては、各党の方針に、はっきりと各党の色が出た結果となっています!
保守系の「自民党」と「こころ」は、「国民の監視を(憲法を妨げない程度に)強め、国をコントロールしていく」というスタンスなので、賛成です。
保守寄りの「公明党」と「維新の会」は、「基本的には賛成だが、自民党のやりたい放題にはさせないため、俺らがちょっと修正を入れる!」というスタンスなので、やや賛成です。
革新寄りの「民進党」と「自由党」は、「まあ必要っちゃ必要なんで声高らかに反対はできないが、自民党は気に入らない!」という感じのスタンスなんで、なんとも・・・という感じですね!
革新系の「社民党」と「共産党」は、「国民様の自由が一番大切!政府が制限するとは、恐れ多いわー!無礼者が!」というスタンスなので、全力反対、といった形ですね。
近年、このように意見が割れた法案は、
「民新、自由、社民、共産がとりあえず反対しまくり、いてもたってもいられない自民党が、数で反対派を押し切る。で、公明・こころ・維新はそれに乗っかる」
というスタイルが定番化してきましたが、果たして今回はどのような結果になるのでしょうか?
という形で、今回はここまで!
また、別記事でお会いしましょう!チャオ!