天皇陛下の生前退位議論とは? 〜皇室典範?特例法?有権者会議?天皇陛下の生前退位議論をわかりやすく解説!〜
2016年の8月8日、天皇陛下が動画にて「生きているうちに、天皇の座を降りて、息子に継がすかも」というご意見を出されました。
それ以来、何かのメディアを賑わすようになった「天皇陛下の生前退位議論」。
果たしてこれは、何がどのように議論になっているのでしょうか?
そもそも天皇陛下って、普段何をされているのでしょうか?
そのあたりを解説していきます!
それでは、レッツビギン!
目次
天皇陛下の生前退位問題の概要
そもそも天皇陛下って、何をされているの?
みなさんが中高の社会で習ってきたように、天皇陛下は「日本の象徴」とされており、実際の権力はほとんど持っていません。
ただ、「象徴」としての職務がなんやかんやたくさんあるのです。
そのようなことの政治関連のお仕事を「国事行為」なんていい方もしたりします。
ということで、実際天皇陛下はどのようなことをされているのでしょうか。
宮内庁のウェブサイトに、天皇陛下のご日程が掲載されています。2017年1月のご日程を、抜粋すると、
- 新年のご挨拶
- 元始祭や奏事始など、様々な儀式
- アメリカ、オーストラリア、エクアドルなど各国の日本大使とご面会や式典
- 大相撲のご観覧
- 外務省の偉いさんなどの報告をご確認
などなど、様々なお仕事があり、1年中ほとんどんの平日は、なにかしらのご予定が入っています!
もちろん、特別な日には土日でもご職務を行います。
天皇陛下のご年齢
そんな天皇陛下も、現在83歳です。
83歳ですよ?83歳で、基本的に平日はほぼ毎日予定が入っているんです。
そんな人、他に日本にいますでしょうか?おそらくほとんどいないと思います。
天皇陛下のビデオメッセージ
で、そんな天皇陛下が、2016年の8月8日に動画でメッセージを発表されました。
内容は「年齢も年齢だし、この先もしかすると国に迷惑をかけてしまうかもしれない。天皇の職務を減らすわけにもいかないし。なので、自分は生きている内に天皇の座を譲った方が良いのかもしれない」という感じです。
この「生きている内に天皇の座を譲る」というのが「生前退位」ですね!
2つの議論点
で、それにより2つの議論点が出てきました。
- そもそも生前退位はアリなのか?
- アリであれば、生前退位をどのように認めるか?
という点です。
この論点を巡り、各種メディアが力を入れて報道した結果、現在日本中でアツく議論させる話題となったのです。
ということで、これらの議論点を見ていきましょう!
生前退位ってアリなの?
皇室典範
天皇や皇室関係のルールは「皇室典範」というルールブックに全て記載されています。
で、その皇室典範には「天皇が崩御(お亡くなりになること)したら、皇位継承する」としか書かれてなく、その他退位に関しての記載がないのです。
てことで、ストレートに考えると、「皇位継承は、崩御のみ」となって、生前退位は認められないことになります。
世論の反応と反対意見
ただ、多くの日本国民は「別に生前退位、よくない?」という反応でした。
日経新聞が2016年夏に行ったアンケートでも77%が「生前退位を認める」と答えたそうです!
このように、多くの国民は「生前退位を認める」と考えてはいるものの、もちろん反対意見もあります。
それが「天皇が、本人の自由な意思や政治的圧力による退位もできることで天皇の地位が不安定になる」という部分です。
例えば(時代はめちゃくちゃ違いますが)、1000年くらい前の日本では、天皇がさっさと息子に位を譲り、自分は「上皇」という天皇よりも制約が少ない地位のもの、日本をコントロールしていた、という歴史があります。
もちろん時代が違いすぎるので、これがそっくりと現代に起こるとは考えられないですが、ロジックとしては同じようなことができちゃうのです。
なので、生前退位に関しても、一定数反対意見を出す人もいるのです。
「生前退位は、皇室典範だけでなく日本国憲法にも違反するのではないか」という議論も多く交わされていましたが、現在では『特に問題はない』と多くの人が認識しているので、あまり議論にはなっていません。」
どのように生前退位を認める?
では、もう一つの「どのように生前退位を認めるか」という点に関しても見ていきましょう!
ここでは主に下記2つの手段があります。
- 根本となっている皇室典範を改正する。
- 今回限りの特別ルールとして「特例法」を作る。
という2点です。
では、この2点それぞれの特徴を見てみましょう!
皇室典範改正
まずは皇室典範改正です。
根本としてルールになっているの皇室典範に「生前退位を認める」と新たに書き足すという解決法ですね。
このメリットとしては「今後も同じケースに対応できる」という点です。
医療技術が発達した現在、ヒトはもっと長生きするようになるでしょう。
でしたら、「天皇陛下が高齢になる」という同じようなケースも絶対出てきますよね。
てことで、今のうちに皇室典範を改正しちゃうと、もちろんこの先同じ議論をする必要もなくなります。
今回限りの特例法を作る
もう一方は、皇室典範は改正せず、今回限りの「特別に生前退位を認める」法律を作って認める、という手段があります。
こちらの手段を推す人は「生前退位を認めるか否かも含め、国民の意見は時代によって変わるから、今皇室典範を改正して解決するよりも、その都度議論した方が良い」や「この先、どのような『生前退位』のケースが出るかはわからないので、皇室典範に具体的な要項を載せるのは、よくない」という意見があります!
「皇室典範」と「政党の思惑」
以上のように、現在は
- 生前退位を認めるか、否か。
- 皇室典範改正か、特例法か。
の2点が論点となっている議論を、国が進めているとこです。
しかし、この裏には「各政党の思惑」も、見方によっちゃ見えてきます。
例えば自民党。
自民党は、長年の夢である「憲法改正」を、今年中にでもやりたい!と考えております。
しかし、日本は「これまで一度も」憲法を改正したことのない国でもあり、それをするとなると超一大イベントです。超一大イベントとなれば、それに関する議論も莫大なものになるでしょう。
そんな中の皇室典範改正の議論が出てきます。
皇室典範もこれまで一度も改正されたことが無く、いざ変える、となればなんやかんや時間がかかりそうです。
ということで、自民党としては「時間のかかる皇室典範改正」より「時間がかからない特例法」を作ることでこの事案を処理し、いざ憲法改正!という思惑があるんじゃないか、ということも、見方によっちゃできるかもしれません。
まとめ
以上、まとます!
まず、この生前退位問題は、
- 生前退位を認めるか?
という議論があり、
認めるのであれば、
- どのように認めるか?
という問題が出てきます。
そこで、
- 皇室典範を改正
- 特例法で対応
の2つの方法があり、ここでも議論がなされている、という感じですね!
今後の流れとしては、今は、その筋のスペシャリストが議論する「有識者会議」が行われており、その会議内容を政府がまとめているところです。
政府の意見がまとまれば、政府がそれを国会に提出し、話し合いが行われる、という感じですね!
いずれにせよ、来年2018年の12月23日に、天皇が退位され、2019年には新しい元号になる可能性が高い、とされています!
この先どうなるのでしょうか?また、動きがあれば随時更新していきます!
それでは今回はここまで!
また別記事でお会いしましょう!チャオ!