PKOの自衛隊が南スーダンで駆けつけ警護とは? 〜何が問題?わかりやすく解説!〜
最近、自衛隊関連のニュースが非常に増えていますね。
特に「南スーダンの自衛隊派遣」についてのニュースが多い!「南スーダン」という国名、皆様も一度はテレビなどで耳にしたことはあるんじゃないでしょうか?
でも、自衛隊と南スーダンはどの様な繋がりがあるのでしょうか?
てか、自衛隊は南スーダンで何をしているのでしょうか?
それで、「自衛隊が南スーダンに行くこと」にどの様な問題があるのでしょうか?
そのあたりの部分を、今回は解説していきます!
それでは、レッツビギン!
目次
PKOの自衛隊が南スーダンで駆けつけ警護とは?
てか南スーダンって何ですか?
南スーダンとは、2011年に独立した、世界で最も新しい国のひとつであり、同時に世界で最も不安定な国のひとつでもあります!
位置的にはここ!
南スーダンはアフリカの真ん中よりちょっと北に位置する国です。
もともとは北の「スーダン」という国の一部でしたが、北と南では住んでいる人の民族や宗教が異なったことからなにかと問題が起きた為、2011年に「南スーダン」としてスーダンから独立しました。
↑南スーダンの国旗と国民
しかし、独立したものの北と南では未だ仲が悪く、その上今度は南スーダンのキール大統領さんとマーシャル副大統領さんの間でもケンカが始まります。それが2016年現在も内戦として続いており、平和基金会という団体が発表している「世界の脆い国ランキング2016」では2位にランクインしているほどです。
↑左がマーシャル副大統領、真ん中がキール大統領
ちなみに同ランキング、我らが日本は178カ国中157位です!1位はフィンランド!
日本の自衛隊はなんで南スーダンに行ってるの?
上記の理由から、南スーダンは「北のスーダンとの関係」と「南スーダン国内での内戦」の影響で非常に不安定な国となっています。
そこで、国連のPKOが、南スーダンを平和な国にするお手伝いをしているんですね。(PKOとは?という部分はこちらの記事をご参照ください!)
で、日本の自衛隊もPKOの一員として、道路などのインフラ整備要因として南スーダンに約300名ほどの隊員が行っています。
↑PKOに参加する陸上自衛隊員
てか、自衛隊って国を守る人じゃないの?なんで海外行ってるの?
自衛隊はその名のとおり、「自らを守る(守る)隊」です。
ご存知のように、日本は憲法9条にて、「武力行使のための軍隊は所持しない」と明記してあるため、「他国に攻撃する」ことは憲法上認められなく、「自分の国を守るための、必要最小限の組織」として自衛隊は運営されてました。
一方、国連では1956年から、「世界の平和を各国が協力して守っていこーぜ!」というアイデアのもと、PKO(国連平和維持活動)が始まりました。
当然、日本にも「PKOに参加してーや!」というお誘いの声もありました。
しかし、自衛隊が「よその国のために働く」というのは「自国を守るための防衛」ではないので、それは憲法違反になるんですよね。なので、日本はPKO参加をずっと断ってました。
きっかけは、湾岸戦争
しかし、最初のPKO開始から44年経過した1990年、中東イラクがクウェートに侵攻し、湾岸戦争が始まりました。
この湾岸戦争では、「圧倒的悪者であるサダムフセイン率いるイラクに、アメリカ主導の世界連合軍が罰を与える」ような構図だったのですが、もちろん日本は憲法などの関係上、連合軍には参加しませんでした。
ただ、軍隊としては参加はしませんでしたが、お金はいっぱい援助しました。
↑イラクのサダム・フセイン
で、それが世界から批判を受けたんですね。「お前ら、もっと世界に貢献せーよ!金払うだけかいっ!」って。
そしてその声に対し、「ごめーん!これから協力するから許して!」ということで翌年の1991年から、自衛隊は海外に行くようになりました。
ただ、このままだと「えっ、それって憲法違反じゃないん?」となるため、さらに翌年の1992年には、通称「PKO協力法」が成立し、名実ともに自衛隊は海外に行けるようになりました。
南スーダン派遣の問題点
「PKO五原則」が守られていない?
PKO五原則とは?
上記のように、自衛隊が海外に行けるようになったからと言って、いつでもどこでも行けるようになったわけではありません。
バリバリの戦場に行くと、もちろん戦争に巻き込まれて自衛隊もその戦争に参加しちゃうことになっちゃいます。
それでは憲法9条に違反しちゃうので、「9条に違反しないくらいのことしかしませんよ」という決まりごとがあるのですね。それがいわゆる「PKO協力法」や「自衛隊法」などに記載してあります。
で、それをまとめて「PKO五原則」といい、、それを満たしてないと自衛隊の派遣はできないのです。
PKO五原則、内容的にはこんな感じ!
この5つのルールを全て満たしてないと、自衛隊は行くことができません。
果たして「停戦合意中」と呼べるのか?
しかし、南スーダンで紛争中の大統領派と副大統領派の間では、一応は停戦合意はなされてるんですが、実はその停戦合意、名ばかりのもので実際はバリバリ戦っています。
2016年7月にも、首都ジュバにある自衛隊が寝泊まりしている施設の数百メートルしか離れていないビルに反政府軍のメンバーが立てこもり、政府軍との銃撃戦がありました。
果たしてこれが「停戦合意」なされた状況と呼べるのでしょうか?
↑南スーダンの反体制ゲリラ
初めての「駆けつけ警護」任務。
今回の南スーダンの自衛隊派遣にてもうひとつ話題になっていることといえば、「駆けつけ警護」というものがあります。
この言葉、皆さんも聞いたことがあるのではないでしょうか?
駆けつけ警護とは、「市民や国連職員、他の国の兵士などが武装集団に襲われた時、自衛隊が助けに行ける」というものです。簡単に言うと、「仲間を助ける」ことです。
「仲間を助ける」って、普通の人間の感覚で言うと至極当然のような感じもしますが、自衛隊ってこれができなかったんですよね。
なぜなら集団的自衛権が認められなかったから。自分の身しか守れませんでした。
しかし、2014年に集団的自衛権が認められると、2015年にはこの「駆けつけ警護は可能です」という法律ができました。(いわゆる安保法の一部です。)
そこで、この南スーダンのPKOが、日本初の「駆けつけ警護」が行われるかもしれないのです。
具体的には、2016年12月から駆けつけ警護の任務がスタートします。
では、自衛隊が駆けつけ警護をする上で、どのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか?
駆けつけ警護のデメリット
【自衛隊員の命の危険が上がる】
武器を持っている相手から仲間を守ってあげるので、その分自衛隊員の命の危険もあがります。
【日本が恨まれちゃう】
実際に直接的に武装勢力と敵対することになるので、その仕返しとして日本が攻撃される可能性が上がります。
【憲法9条が緩くなっていく】
日本は今まで、「戦力は、自分を守る為にしか持たない」という9条を貫き通してきました。それがこれにより、「戦力は自分とその仲間を守る為にしか持たない」という風に変わっていきます。
というような部分がデメリットですね!まあ簡単に言うと、「日本が危なくなる」、「日本が戦争に巻き込まれる可能性が上がる」ってことですね!
メリット
【外交がしやすくなる】
メリットは、これに尽きます。
今までは、「仲間を助ける」ってことができなかったんです。
他の国からしてみれば、「俺らは日本を助けんのに、日本は俺ら助けてくれへんの?」ってなりますよね。
てことで、日本が少なからず相手に負い目を感じ、話をするにしても対等に話ができません。
よって、これをすることによって他国とも対等な関係になり、外交もしやすくなる、という部分ですね。
このメリットとデメリットは、トレードオフの関係ともいえるでしょう。「安全」を取るなら「外交」は捨てなければなりませんし、その逆も然りです。
従って、この「駆けつけ警護」に関しての良い悪いの議論は絶えないのですね。
というように、この2016年は日本の「自衛隊」と「国際協力」に関して大きな変化がある年だと言えるのではないでしょうか。
自衛隊員がいてこその、日本。
ただ、多くの日本人にとって「自衛隊」や「国際協力」と言われてもピンとこないと思います。
しかし、このように自衛隊の人たちが自らの命の危険と隣り合わせの危険な任務を行うことにより、日本の外交力は上がっていくのです。
日本の外交力が上がることにより、日本の国力もあがります。
日本の国力が上がることにより、日本の人々の生活も向上するのです。
そう考えると、「自衛隊」や「国際協力」といったことも身近に感じるのではないでしょうか?
まとめ
それでは今回のまとめにいきましょう!
- 南スーダンは2011年にスーダンから独立した国で、情勢が超不安定。
- なので国連は情勢安定の為にPKOを派遣している。
- で、自衛隊もPKOで南スーダンに行っている。
- 自衛隊がPKOに参加するには「PKO五原則」をクリアしないといけない。
- 南スーダンは戦闘が盛んに行われているので、PKO五原則が守られていないのではないか?
- 2015年の安保法で認められた「駆けつけ警護」の任務が2016年12月から南スーダンで開始。
- 自衛隊の国際協力が、日本の外交力の一翼を担っている。
以上になります!
それではまた別記事でお会いしましょう!
チャオ!